シャドーハウス

シャドーハウス【9巻】ネタバレ・感想!記憶を取り戻す生き人形

2021年春にアニメ化されたシャドーハウスの【第9巻】の、あらすじ・ネタバレ・感想をまとめています。

顔のない一族である「シャドー」。

そしてその”顔”の役割を果たす、お世話係の「生き人形」。

シャドーと生き人形が貴族のまねごとをして暮らす、奇妙な館の謎とは……

※以下ネタバレを含むので、先に無料で読みたいという方は下記から無料で読む方法をご覧ください。

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シャドーハウス【9巻】のあらすじ

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この先ネタバレを含みます。アニメ派の方や未読の方はお気を付けください。

シャドーハウス【9巻】のネタバレ

【98話】仕掛けられた罠

星つきは反乱分子?

エドワードが危惧した通り、喜びの会で”特別な珈琲”が振舞われなかったことから、星つきは確実に反乱分子である証拠だと声を荒げるサラ。

あまり動きすぎると怪しまれるため、もう少し様子見するかとダグラスは提案するが、サラは「馬鹿言わないで生温いわ!」と彼の言葉を跳ねのける。

エドワード様の推測は全て正しい
 …あいつの裏も暴かないといけないわ
 ”星つき”の手下ケイト!!

ケイトがルイーズに声をかけているところを、睨みつけながら監視するサラだった___。

ケイトに探りを入れるサラ

あっ本当に来てる!

ケイトとルイーズが二人で話していると、当初の班集合の予定時間よりも前にも関わらず、サラとイザベル、ミラベルが現れた。

班の集まりの時間勘違いしたわ。サラの言う通りね」とイザベルとミラベル。

サラは、「良かった。私も間違えていたの…ケイトたちが歩いているのを見かけて急いで来たのよ」と嘘をついた。

戸惑うケイトに、

あら?ごめんなさい
 1時間も早く来てケイトとルイーズだけで話したいことがあったのね?

と驚いたふりをするサラ。

席を外そうとイザベルとミラベルを促すサラに、「班員に内緒にするようなことじゃないわ」とケイトは引き留めた。

同期会を開こうかと思っているの

シャドーハウスにおいて、同期というくくりは重要ではない

班活動を強化するなら分かるが、なぜ同期会を…と不思議に思うサラ。

イザベルとミラベルは「同期~?私たちそんなの残ってないわ」と声をあげた。

ケイトは、せっかく”お披露目”で打ち解けたのだから、もっと仲良くなりたいと思っていると言葉を紡ぐ。

ケイトの同期は、ルイーズとジョン、そしてパトリックである。

温室でパトリックに会っていたのは、そういうことかと納得するサラ。ジョンともつるんでいることは容易に想像が出来る。

サラは、ケイトはこれからルイーズとパトリックを仲間に引き入れようとしているのではと推測した。

そもそも同期会って何するの?」とイザベルとミラベルの質問に、カードゲームとか、他愛もないことだとケイトは答える。

夜集まるのってワクワクするっ!」と言うルイーズに、なぜ夜なのかとイザベルとミラベルは不思議そうにした。

ケイトは、昼間は班や趣味の活動があってなかなか集まる時間がないからだと答えた。

館が認めていないグループでの会合は推奨されないわよ?」イザベル・ミラベルの言葉に、「えーっ評価下がるのはやだなっ」とルイーズ。

「ねえサラ!駄目よね?」サラに同意を求めるイザベル・ミラベルだったが、

ただの遊びでしょ?
 ルールに縛られてばかりじゃつまらないわ
 たまには羽目を外してもいいと思う

とサラ。

ケイトを支えたいから、今までより物事を柔軟に考えたいとサラは言葉を添えたが勿論本意ではない。

「でも気を付けてよ。時間外に男子棟に入ると罰を与えられるわ」サラの言葉に、「そうなの? 今夜パトリックの部屋で集まる予定だったのに…急いで決め直さないと」と言うケイトだった。

エドワードへの報告

共有部で、夜に集まれるような場所は少ない。渡り廊下前ホールや玄関ホールには、顔の見えない人形がいるからだ。

サラは、今夜ケイト達が集まるとすれば、2階のバルコニーだとあたりをつける。

ケイト達が何を企んでいるのかはサラには分からないが、偉大なるおじい様への犯行を企てようものなら、そこでの同期会の話は確実な証拠になると考えるサラ。

エドワードに宛てる手紙に、サラは自分の香水をふりかけた。エドワードにアピールするためだ。

そこへアイリーンの「すすバト」が飛び込んできた。

ギョワアアアァッという鳴き声と共に、机にすすで書かれた文字が浮かび上がる。

そこには、このすすバトを使って連絡を取るということ、そしてもう一匹のすすバトに言葉を吹き込むよう書かれていた。

すす能力でこんなことも出来るのかと感嘆するサラ。

…こちらでは予想された通りに反乱分子が動いています
 明日また来てください…
 その時には確実な証拠を掴んでいることでしょう

サラはほくそ笑みながら、エドワードへの言葉をすすバトに吹き込んだ。

まとめ
  • サラはケイトを疑っている
  • すすバト:2階の住人アイリーンのすす能力。吹き込んだ音声を文字化して伝える伝書鳩のようなもの。

【99話】思わぬ来訪者

待ち伏せするサラとダグラス

夜のバルコニーにて、ケイト達が来るに違いないと待ち構えているサラとダグラス。

茂みの裏に身を隠しながら、サラはケイトについて考えていた。

初めて会った時から、サラの印象では出来の悪いシャドーだったケイト。だからこそ、反乱分子の”星つき”に引き込まれたのだろうとサラは考える。

私が立派に育ててあげようと思っていたけど駄目だったわ
 貴方の企みを聞かせてもらう!!

そこへ誰かがバルコニーへと続く扉をあける音がした。

深夜の同期会

パトリック。ルイーズ。参加してくれてありがとう」まずはお礼を述べるケイト。

パトリックとルイーズに真実を知ってもらいたいが、どこまで話せるだろうかとケイトは思案する。

気を付けるべきことは、『偉大なるおじい様とシャドーハウスをけなすこと』だ。

”生き人形”は人間』であることや『珈琲による洗脳や一体化』に関しては、いきなり言っても伝わらないだろうしシャドーハウスへの反抗ととられかねない

どう切り出そうか考えあぐねていると、「深夜の集まりってなぜかワクワクするよな!」とジョンが声を上げた。

ケイトとショーンは「声が大きい!」と注意する。

さあっ”生き人形”はポートレイトを脱いで喋ってくれ。無礼講だーっ!」と言うジョンに「みなさん楽しみましょう」とエミリコも言葉を添える。

「そういえばエミリコが倒れたのはなんだったの?」と尋ねるルイーズ。

疲れたんじゃない? ”生き人形”って疲れるんだって!生きてるみたーい
 見て!ルウなんて”お披露目”のときの傷 自動修復してるしっ
 鍛えると筋肉もついてきたのよっ

そう言って、ルウのスカートを捲り上げるルイーズ。

ショーンとリッキーが顔を赤くしていることに気づいたケイトは、ハッとする。

待って…!
 そんな風に女子の…
 太ももを見て心が乱れるなんて…
 今まで”生き人形”同士そういった感情を抱くことはなかったってことよね…?

それは…たしかに…
 壊れてしまったということでしょうか?

と戸惑うリッキーに、「壊れてるのはお前だけだ」とショーン。

ショーンの胸倉を掴むリッキーだったが、パトリックは「そんなことよりエミリコ…倒れたって大丈夫なのか?」とエミリコの身を案じた。

実は倒れたときに思い出したんです
 ”生き人形”と言われる前の記憶を…

ケイトと目配せを行ってから、エミリコは自分の身に起こったことを話した。

それってつまり…作られる前の記憶…?」と戸惑うルイーズ達。

「ケイト知っていることがあるなら教えてくれ」「ケイトだけ知ってるなんてずるいっ」パトリックとルイーズは、ケイトに詰め寄った。

そんな彼らに「ええ。その話をする前に…紹介したい人がいるわ」とケイトは答えた。

出し抜かれたサラたち

一方、バルコニーではイザベル・ミラベルと、サラ・ダグラスが邂逅していた。

なんであんたたちが来るのよ!?」と声を荒げるサラ。

はあ!?サラそれはこっちのセリフよ!植木鉢から音がしたと思ったら隠れてなにしてるのよ」とイザベル・ミラベルも負けじと声をあげる。

自分だけでも逃げようとするダグラスだったが、イザベル・ミラベルに見つかってしまう。

ケイトたちはどこ!?話の流れ的にココが同期会の場所だと思ったのに」イザベル・ミラベルの言葉に、『双子も予想してきたわけ…!?』とサラは内心で毒づく。

サラとダグラスで同期会してたの!?」と勘違いをするイザベル・ミラベルに、「なっ…!!バカ言わないで」と慌てるサラ。

「ムカつくわっ私たちを仲間外れにして!!」と双子は返す。

そこへ「何を騒いでいる!」と”星つき”のベンジャミンがやってきた。

最近問題が多いため、彼は見回りをしていたようだ。「違反行動をとった理由を聞かせて貰おうか!?」とベンジャミン。

「それはたまたまお菓子を取りに…!」とイザベル・ミラベル。

サラ、そしてダグラスも一緒に、ベンジャミンに連れていかれることとなった。

紹介したい人

同時刻、メインハウスにて。

侵入できないと思われていたメインハウスをケイトらが選んだのは、サラたちを欺くためだ。

サラは知らないが、渡り廊下前の見張りはダミー人形なのである。

今朝、リッキーからサラとダグラスに見られていたという話を聞いていたおかげで、サラが同期会の場所を探っていることに気が付くことが出来たのだ。

そしてケイトがルイーズ達に紹介したい人とは…『顔の見えない人形の服』に身を包んだラムと、シャーリーのことだった。

まとめ
  • サラはケイト達がバルコニーで同期会をしていると予測した
  • ケイトは裏をかいて、メインハウスにて同期会を行っていた
  • ケイトが同期に紹介したかった人物はシャーリー

【100話】五対の同期会

ラムとシャーリーとの再会

ラムの登場に動揺するルウとリッキー。そしてラムの肩には、とても小さくなった姿のシャーリーが乗っている。

ラムとの再会に、エミリコは心から喜んだ。

「シャーリー、バルコニーの方はどうだった?」と尋ねるケイト。

今のシャーリーは変身能力を持っており、ラムの指に巻き付くことで意思疎通ができるようだ。

シャーリーの偵察のおかげで、サラとダグラスが同期会を監視しようとしていたことを知ったケイトは「残念だわ…サラは味方ではなかったのね」と呟く。

「ま 待て! わからないことだらけだ…」と言ったのはパトリックだ。

シャーリーの姿はすす能力ではなく「モーフ」であること、メインハウスの前にいる顔の見えない人形は、ダミーで中に「すす袋」が入っているのだと説明するジョン。

しかしパトリックはジョンを無視し、ケイトに「君は何を知っている!?」と話しかけた。

生き人形とモーフの話

ケイトは、シャドーは最初「モーフ」と呼ばれる姿をしていたというところから説明を始める。

自分自身が「モーフ」だったことについて、俄かには信じがたいという反応をするパトリックだったが、「自分の部屋で目覚めた以前のことを覚えている?」とケイトに尋ねられると言葉に詰まってしまった。

モーフは、共に過ごすものに影響を受け、悪意なく擬態する性質を持っている妖精だとケイトは説明する。

このシャドーハウスはその特性に目を付け、「人間」を利用しているのだ。

”生き人形”と呼称しているけど……
 本当は人間よ!

ケイトの言葉に、パトリックとルイーズも動揺する。

学習能力が高く成長スピードのはやいモーフは、姿かたちだけでなく「人間」の思考能力まで模倣することが出来るので、それによってシャドーハウスは作られているのだとケイトは言葉を続けた。

初期の頃、ケイト達シャドーは自分の部屋から出ることを禁じられていた。

それはまだ個として不安定なシャドーが、自らの”生き人形”以外に影響を受けないようにするためだったのだ。

おやすみのキスですら、形を写し取るのに必要な行為だったというケイトに、『名前を奪われて姿形が似ていた理由はそれか…!』とハッとするリッキー。

パトリックとルイーズは、今までの生活の全てが、俺たちをシャドーにするために必要だったのか?と戸惑う。

「この同期を見ていると性格を写しとれているのかな?」と疑問を投げかけるジョンに、「…モーフの元々の性格もあるという話だけれど 私は”生き人形”の内面の一部を映し出していると思うわ」とケイト。

ショーンは冷静に見えて直情的なところがあるし、ルウのかわいらしいところはルイーズにうつっていると思うとケイトは言葉を続けた。

リッキーは強がっているけど結構優しいんじゃない? ラムは意外とおちゃめだったりしてね

ケイトの言葉に、ケイトは自分のどんなところに影響を受けたのだろうと考えるエミリコだった。

そしてシャドーとして安定したかを確かめるために”お披露目”があった…!

ケイトはそう言って、お披露目の後のことを話してほしいとラムに告げる。

お披露目に落ちた後のこと

ラムは、”お披露目”に落ちた後は、自分は顔の見えない人形として働かされていると答えた。

それが”生き人形”の処分で、人間は攫ってこないといけないから再利用されるということ、そして眠る時と食事以外は口枷をはめられるとケイト達に話す。

シャドーの場合は、うまく模倣できなかった場合、普通はモーフに戻ることなく衰弱死するようだ。

”お披露目”で落とされたり、”生き人形”が先に死んだ場合は、すすを出すエネルギー源として死ぬまですす出し部屋に閉じ込められるのだという。

泣きながら話すラムに、「それがシャドーの処分…!?」と驚きを隠せないケイト。

おかしいわっ!そんなの貴族でもなんでもないっ!」「それじゃまるで牢獄じゃないか…!!」戸惑うルイーズとパトリック。

だからこそ何も教えずに表面だけ取り繕っている。少なくともこどもたちの棟の住人は___館の餌でしかない」ケイトは皆に真実を告げた。

シャドーハウスはこどもたちの命を養分に回っている…!!」 

まとめ
  • ”お披露目”に落ちた人間は”顔の見えない人形”として働かされる
  • ”顔の見えない人形”は眠る時と食事以外は口枷をはめられる
  • ”お披露目”に落ちたり、先に”生き人形”が死んだシャドーは、死ぬまですす出し部屋で働かされる

【101話】絆

リッキーの告白

シャドーハウスがこどもたちの命を養分にしている…そんな考え方は偉大なるおじい様に逆らうことになると苦悩するパトリックだったが、その隣でリッキーは思わず涙を流していた。

ケイト様は間違っていません
 今朝思い出してしまったんです
 自分が人間であるということを…!!

リッキーは、突然のことに混乱して全てのシャドーが敵なんじゃないかと疑心暗鬼になったという。「でもパトリック様が敵だなんてありえないと思い直しました

リッキーが自分にウソをつくはずがないと考えるパトリック。つまりケイトの話は真実だということだ。『リッキーはあの時 不安や恐怖をひとりで抱え込んでいたんだな』

そう考えたパトリックは「…俺の方こそすまない」とリッキーに謝罪した。

いつも気づかされていばかりだ
 偉大なるおじい様に逆らうことを恐れて
 一番大切な存在を失うところだった…!!

そう言うと、パトリックはリッキーの手を取った。

ケイトも、自分の思いを告白してくれたリッキーにお礼を述べる。

「俺もショーンが大切だぞ!」とジョンはショーンの肩を抱いた。

こどもたちの前に姿を現すこともなく、何かを教えてくれるわけでもないのに、今まで偉大なるおじい様こそ絶対だと思っていたのは、リッキーからいつも聞かされていた思い込みのせいかと合点がいくパトリック。

”生き人形”もそう動くように洗脳されている
 ”特別な珈琲”によって

ケイトの言葉に、「やっぱりあの珈琲が…!」とリッキー。

こんな恐ろしい館からは逃げようというパトリックだったが、それは出来ないとケイトは言った。マリーローズですら、こどもたちの棟に逃げ道はないと言っていたと言葉を添える。

不思議そうにするパトリックに、「事件の顛末を全て話すわ」とケイト。

事件の真実

マリーローズは館のある残酷な秘密、”一体化”に触れて反乱を起こしたと伝えるケイトに、パトリックらは驚きを隠せない。

大人になるために”生き人形”を犠牲にするだって!?
 だったらなおさら逃げるべきだ!
 攫われてきたなら探している家族がいるはず!助けを求めよう!
 マリーローズが失敗したとはいえ、俺たちは五対いるんだ!不可能じゃないだろう

熱くなるパトリックだったが、そんな単純な話ではないとケイト。

そもそも外からの来客なんて一度もない。

来ても絶対に入れないようになっているのか、外の人間ですら洗脳されているのかもしれない。

仮に出られたとして他のこどもは置いていくのか、そしてシャドーハウスを捨てて「シャドー」はどこで生きていくのかと疑問を投げかける。

私はみんなを助けたいの!

ケイトの言葉に、「…そんな理想論じゃ誰も助けられやしない!」とパトリックは反論する。

そんな二人を見て、「ケイト様!! 仲間がいるっていいですね!!」と笑顔のエミリコ。

白熱する二人の雰囲気を変えたのは、エミリコだった。

色んな考えを知ることが出来て嬉しいこと、エミリコは家族のことなんて考えもしなかったと言い「パトリック様はすごいですね! ケイト様と対等に意見をぶつけ合えるんですから!」と言葉を続けた。

そんなエミリコの姿に、思わず笑いだすケイト。

ケイトは、カッとなってしまったことをパトリックに謝罪した。自分も言いすぎたとパトリック。

五対の絆

ケイトは、自分は結果を急ぎすぎて周りが見えなくなることがあると自分について話す。

”珈琲”による洗脳を防ぐためとはいえ、エミリコを危険な目に遭わせてしまったし、マリーローズの様にひとりで全てを決断しようとしていたと自分を省みる。

しかしケイトのおかげで珈琲豆のすり替えが成功したり、シャーリーやラムに会うことが出来たとエミリコ。

ラムは手紙で近況を伝えてくれたし、シャーリーは連絡を取り合うために定期的に来てくれることになった。

温室では、記憶を取り戻したリッキーが、パトリックのことだけでなくケイトのことも信じて同期会の話に乗ってくれた。

更にエミリコとケイトが気づかなかったこと、サラとダグラスが見張っていることも教えてくれたのだ。

そして今、同期の5対10人全員が揃っている。

…色んな偶然に救われたと思っていた
 でも違ったわ
 全て仲間が助けてれたおかげ
 ”お披露目”の時から私たちには絆が出来ていたのね!

エミリコの言葉を受けて、ケイトも前向きになる。

絆と聞いて、パトリックは最初の同期会でこねた「すす」を取り出した。

ルウもポケットからそれを取り出す。皆持ってきていたのだ。

私たちはマリーローズのような過ちを絶対に繰り返さない!

ケイトの言葉で、5対10人は改めて同期の絆を強く感じたのだった。

まとめ
  • 自分が人間だったことを思い出したと吐露するリッキー
  • マリーローズが何故反乱を起こしたかをケイトは同期に伝えた
  • 結束を強めるケイトら5対10人

【102話】思い出

屋根の上で

エミリコら”生き人形”たちは、屋根へと続く階段を上っていた。

どこへ行くんだと問いかけるリッキーに対し、「お影様たちが今後の作戦を立てている間に私たち人間ができることは、過去を思い出すことではないでしょうか?」とエミリコ。

ショーンも、館が自分たちの記憶を消していたという事は、つまり思い出せば攻略のヒントになるはずだと口添えをする。

「5人揃ったら一緒に見たかったんです」エミリコの見せたかったものとは、前にショーンと見た星空のことだった。

しかし生憎と空は曇り模様だった。

「日中も晴れている方が少ないよな…」と言ったのはショーン。5人はとりあえず、そのまま屋根の上に出てみることにした。

人間って言われてどう思った?とリッキーに話しかけるルウ。

何も知らずに”生き人形”として暮らしていた頃には感じなかった気持ち…
 夜眠れなくなったり仕事に集中できなかったり
 そのせいで余計なことを考えて苦しくなるとか…

曇り空を見上げながら、リッキーは話し出す。

エミリコも、自分も洗脳が解けなければ辛くなかったかも…と思ったことがあると自分の心のうちを吐露する。

「…疲れはするかな。”珈琲”は美味しくなかったし…館への忠誠心はもうそんなにないかも」と言ったのはルウだ。

ルウも人間らしさを取り戻したのかと喜ぶエミリコとリッキーだったが、

でも…状況は飲み込めたけど
 やっぱり「実感」はないかな…

とルウ。

ショーンは、記憶の戻り方だけでなく感じ方にも差があるんだなと返す。

本当の名前

リッキーは、最初に思い出したのは誰かに名前を呼ばれる記憶だという。

パトリック…
 これが俺の本名だと思う
 リッキーとも呼ばれてたかも…
 パトリックの短縮形だからな

リッキーの言葉に、「実は私も『ケイト』って呼ばれた記憶が戻ってきたんです」とエミリコ。

シャドー達は、本来「人間」のものであった本名を名乗っているのだ。

つまりラムの実名がシャーリーで、ルウはルイーズということになる。

思わず名前を呟いたリッキーに、ルウが反応する。ルウは、リッキーにルイーズと呼ばれるのが、懐かしい感じがしたという。

エミリコは、列車に乗ってシャドーハウスに連れてこられたことを思い出したと皆に告げる。

…『すす列車』
 そうだ それだ…!

なにかを思い出すショーン。

リッキーも「すす列車…それが来るのを待ち焦がれていた気がする」と続ける。

山から列車が降りてくるとき、下からも同時に列車が現れる不思議な光景。湖面が「鏡」のように逆さに映る美しい景色…その湖の側にある村の名前は…

『ミラーサイド』
 俺たち同じ村の出身なんだ…!

思わず顔をつきあわせるショーンたち。「さっきルウの感じた懐かしさはそれか!?」

ショーンの言葉に、リッキーも興奮気味に「そうだよ!ルウ…知り合いだったってことだよ」とルウに顔を向ける。

俺もみんなの顔をしっかり見れば思い出すか…!?」とポケットからメガネを取り出し、「エミリコそんな顔だったのか」と言うショーンに、「お前本気で人を認識してないな…!」と呆れ気味のリッキー。

ショーンは、大体声とシルエットで分かるからいいだろと返す。

しかしお前のメガネ…妙にしっくりくる」と言うリッキーだったが、ショーンは「リッキー!お前の顔も良く見ると…想像以上にムカつく顔だな…!」と返した。

取っ組み合いを始めるリッキーとショーンを見て「よくふたりは喧嘩して怒られてた…学校…の先生に…」とラム。

リッキー達は同じ学校に通い、読み書きを習っていたのだ。

同郷だったショーン達

運動の時間にはダンスをすることもあったし、食事の時間にはマナーを教えてもらったとラムは続ける。絵を描きに湖へ行くこともあったという。

家では仕事を手伝わされるから、学校が楽しかったと言うのはショーン。

テーブルマナーの授業では、いつもより美味しいものを食べることが出来たとリッキー。

ルウは「ダンス…好きだった気がする」と話す。

”生き人形”の説明書をショーン達が始めから読むことが出来たのは、学校で習っていたからなのだ。

運動の授業で体力をつけていたからシャドーハウスの過酷な労働にも耐えることが出来るし、”お披露目”のダンスも自然と踊ることが可能だったのだ。

…わかってきたぞ
 学校での授業は全てシャドーハウスに入るための訓練…ってことか!

ショーンの言葉を受けて、皆は連鎖的に次々と思い出した。

「ラムは授業の後すぐ帰っちゃうから喋ったことないよね」とルウ。

「リッキーは髪型変えたか?ルウはよく笑ってた気がする!」と言ったのはショーンだ。

「ショーンは校長先生に勉強を褒められてた」とルウも話す。

しかし4人とも、エミリコのことだけはうまく思い出せないのだった。

まとめ
  • ショーン達は『ミラーサイド』の出身
  • 学校でシャドーハウスに入るための訓練を受けていた

【103話】前日

記憶のすり合わせ

同じ村の出身で、同じ学校に通っていたことを思い出したショーン達。

しかしエミリコのことだけはうまく思い出すことが出来ない。

「エミリコは『選別会』のこと覚えてるか?」とショーン。

選別会』とは、シャドーハウスに行く子が選出される会で、選ばれた子は儀式として”珈琲”を飲まされる。それが村での最後の記憶のはずなのだ。

選別会という名前は分からないが、覚えていると言うエミリコ。

覚えているのに選別会の名前を知らないことに訝しがるリッキー。選別会に出ることは、こどもたちの目標なのだ。

「エミリコは別の村から来たのか…?」とショーン。

ミラーサイドでは、子どもたちは選別会に出るための勉強を学校で行っていた。

シャドー家が顔のない一族だなんて誰も知らなかったし、館に仕えることが一番の幸せとされていた。

選別会に参加出来るだけでも、嬉しくて仕方なかったとショーン。

そして「改めて考えると村にいたころから洗脳されていたのかもしれない」と結論付ける。

ミラーサイドにいた頃の記憶

シャドーハウスにショーンらが来る前のミラーサイド。

ショーン(ジョン)は、すすについてのスピーチを行い、校長先生から褒められていた。

君たち上級クラスは明日いよいよ選別会だね」そう言いながら、校長はあるチケットを皆に振舞った。

外部から珍しい催し物がきているようで、そのチケットを生徒にプレゼントのことらしい。

「校長先生!こんな時に遊んでいる場合じゃないでしょう!?」と声をあげたのは、リッキーことパトリックだ。シャドーハウス以降とは違い、前髪は固めずにおろしている。

そんな彼の姿を見て、「はははパトリックは真面目だな」と笑う校長先生。

外部から来るものを受け入れることも大切だということ、シャドーハウスの素晴らしさはもっと広い世界に知れ渡っていくべきだと校長先生。

ジョンには首席として特別に弟妹の分もあげよう
 ルイーズはとても優秀だったね 立派な大人になると思うよ
 シャーリーは勉強できるのだから自信を持ちなさい

一人一人に声をかけながら、校長先生はチケットを手渡した。

フン!俺はまだ本気を出して無いからな
 館に入ったら追い抜いてやる

帰り際に、ジョン(ショーン)に負けたくないパトリック(リッキー)は対抗心をあらわにするも、ジョンの意識は学校まで迎えに来てくれた幼い弟、妹たちに向けられていた。

そこへ一枚のチケットが風に乗って飛んでくる。「シャーリー!チケット落としたぞ」と声をかけるジョンだったが、自分は行かないとシャーリー(ラム)。

シャーリーは、じっとドレス工房を見つめていた。

ドレス工房は、ミラーサイドで館と最も繋がりのある仕事だ。館で使われる服は、ここで作られているのだ。

シャーリーはドレス工房で働きたいという。

シャドー家にお仕えするのは向いていないと言うシャーリーに、選別会に参加できるのは13歳までで、それを過ぎたらこの村で働くしかないとジョン。

シャーリーはまだ11歳…諦めるのは勿体ないよ」と言うジョンだったが、「…ここの服は村の外にも出荷しているのに外の世界のこと…何も知らない」とシャーリーは返した。

外の世界に興味があるのなら尚更、館に入らなくてはとジョン。シャドーハウスが外部と交渉しているからだ。

なによりシャドーハウスに入ることが幸せだし外部にここ以上の幸せはないよ
 ほら外の世界を見る良い機会だろ?
 それに館に入ったら村に帰って来れるのは大人になってからだし
 村での生活も明日で最後になるかもしれない

ジョンは、シャーリーを優しく諭した。

エミリコを思い出せない4人

ショーンは、弟妹の面倒見が良かったから、年齢制限ギリギリで選別会に参加したのだ。

4人で記憶を振り返ってみるも、「どう考えてもやはりエミリコとの思い出はない…」とショーン。

哀しそうにするエミリコ。

「おい!お前ら何か思い出さないのかよ」と言うリッキーに、「ところであのチケット何だったっけ?」とショーン。

そうだ!
 あれは…

空を見つめながら、4人はチケットについて思い出そうとする。

サーカスのチケット

シャドーハウスに来る前のミラーサイド。

リッキー(パトリック)がドアを開けると、そこにはルウ(ルイーズ)が立っていた。

パトリックも一緒に行こうよ」催し物に誘いに来たのだ。明日の準備があるから行かないというパトリックだったが、

強情~!
 今日で村とお別れなら
 思い出くらい作ろうよ

とルイーズはパトリックの手を取る。

半ば強引に、パトリックはルイーズに連れ出されるような形で催し物に参加することになった。

ジョンは弟、妹たちと、そしてシャーリーも一人で催し物の会場へと向かう。

外部から来た催し物とは、サーカスのことだったのだ。

まとめ
  • エミリコのことをどうしても思い出せないショーン達
  • シャドーハウスで着る服はミラーサイドのドレス工房で作られている

【104話】或る少女の名前

エミリコ

さあさあ お手玉はこのくらいにして最後は大技!」テントの中に、座長の言葉が響き渡る。

綱渡りをするエミリコ。しかし足を踏み外してしまう。

機転を利かせた座長が「おっと!綱渡りの最中に居眠り!?」と声をあげる。失敗を誤魔化すかのように笑うエミリコ。

観客たちは、なんだ落っこちたのも演技かと納得したようだったが、裏ではエミリコは座長からこっぴどく叱られていた。

「この地域での初公演だぞ!そんなときにトチりやがって」座長はエミリコを殴りつける。

親のいないお前に飯を食わせてやっている恩を忘れたか!
 雑用もまともに出来ねぇグズが…
 芸まで上達しねぇんじゃここに居させる理由がねぇ!
 お前はもうクビだ!

名前のない少女

一方テントの外では、ルイーズ(ルウ)らがサーカスの感想を述べあっていた。

「綱渡りしてた同い年くらいの子凄かったね」とルイーズ。

パトリック(リッキー)は、「学校じゃ運動できるとか言われているジョンもあれは出来ないだろう」と毒づく。

「なんで俺と比べるんだ」と言い返すジョン(ショーン)。

その時、ジョンは物陰にいるエミリコを発見した。

クビになったことで、号泣しているエミリコ。

事情を聞いたジョン達は、失敗の責任を押し付けられたことに憤慨する。

「…ねえ 貴方の名前は?」ルイーズが問いかけると、

えっと…『綱渡り』とか『雑用』と呼ばれていました
 私が出来ることはそのくらいだったので…

とエミリコ。彼女には名前すらなかったのだ。

「ひど過ぎる!退団はむしろ正解だ!」とパトリック。綱渡りが出来るくらいなら選別会も余裕だろうと続ける。

不思議そうにするエミリコに、選別会とはシャドー家に仕えるために選抜される名誉な会だと説明するジョン。

選ばれたらシャドーハウスで不自由な暮らせる、と言葉を添えるのはルイーズだ。

私も…行きたい!」と顔を明るくさせるエミリコ。

「普通はそのために学校に通うんだけど」と言うジョンに、エミリコは「勉強…できません…」と返す。

年齢も、たぶん11歳と曖昧だ。

ねえ!勝手に入っちゃえば?」そう提案したのはルイーズだ。

校長は館に参加者を伝えているのではと疑問視するジョンだったが、校長は選別会に参加していないと思うとルイーズ。

シャーリー(ラム)は、前回の選別会当日に『名簿』を渡しているのを見かけたという。

そのため、名簿は校長室にあるのではないかと言うシャーリー。

5人は。その名簿にエミリコの名前をこっそり書きこむことにした。

「いいんですか?私なんかが…」と尻込みするエミリコだったが、「出来ないことは館に入ってから俺たちで色々教えるよ」とジョン。

5人でシャドーハウスに入って幸せを掴もう!」とルイーズも笑顔で言う。

「皆さん…ありがとうございます!」エミリコは、荷物をまとめに一旦テントへと戻ることにした。

エミリコが準備をしていると、テントの端で誰かが動く音がした。

立ち去ろうとする何者かを呼び止めるエミリコ。

貴方は今朝の…!

名簿に書いた名前

エミリコを待っているジョン、ルイーズ、パトリック、シャーリー達。

「お待たせしました!行きましょう」そこへ荷物を抱えたエミリコが現れた。

校長室に忍び込もうとする5人だったが、生憎鍵がかかっていることに気が付く。

「あ…煙突!」持ち前の身軽さで、するすると屋根に上っていくエミリコ。

無事に校長室に忍び込み、名簿を発見したものの、エミリコには名前がない上に文字もほとんど書くことが出来ない。

そうだ!これなら書ける…

エミリコが名簿にこっそりつけたしたのは、『ケイト』という名前だった___。

まとめ
  • エミリコは元々サーカスにいたが失敗が原因でクビになる
  • エミリコとジョンらはサーカスのテント近くで出会った
  • エミリコには名前がなかった

【105話】約束の星空

ケイトという名前

「名簿に名前を書いてきました!」とエミリコ(ケイト)。

そういえば名前はなんて書いたんだ?というパトリックの問いかけに、エミリコは「ケイトです…他の人の名前を借りました」と伝える。

「…選別会 私も選ばれるといいなぁ」エミリコの言葉に、「これで学校に行ってないヤツだけ選ばれたら笑えるな」とパトリック。

学校から選抜された時点で基礎学力は認められているから、実際に選ばれる基準は健康状態や受け答えだと聞いているとジョン。

「俺も気を抜かず頑張らないとだな!」ジョンはそう言って、エミリコ(ケイト)の肩をぽんと叩いた。

今日からこの五人は仲間だ
 館に入れたらきっと毎日が楽しくなるぞ!

シャーリーとラミー

選別会の前日。帰るところがないエミリコは、シャーリーの家に泊めてもらっていた。

「明日の選別会頑張りましょう!」と言うエミリコに、「…ごめんね やっぱり私は館に行けない…」とシャーリー。

選別会用のお洋服もエミリコにあげるという。

どうして行きたくなくなっちゃったのかと尋ねるエミリコに、「私…ラミーがいないと人とお話しできないの」とシャーリーは返す。

ラミーとは、シャーリーの母が作ってくれたぬいぐるみのことで、生まれた時からの友達だという。しかし館に私物は持っていくことが出来ない。

「行きたくても無理…」と言うシャーリーに、「いいこと思いつきました!」とエミリコは言い、ラミーについているリボンを、シャーリーの指にはめた。

これならラミーと一緒にいるみたい…
 ありがとう…
 頑張れそうな気がする

シャーリーはそう言って嬉しそうにした。

いよいよ選別会

翌日、選別会の当日。

エミリコとシャーリーが歩いていると、向こうからルイーズらがやってきた。

母に作ってもらったという可愛い服に身を包んでいるルイーズ。パトリックも、前髪をあげてピシッとしている。

「ジョンは普段着かよ」というパトリックの言葉に、「特別なことはしない…お前はどこか違うのか?」とパトリックの前髪に気が付いていないジョン。

パトリックは、この日のために父が買ってくれた上等な生地の服を着ているようだ。

「早く着替えたほうがいいぞ えっと…」とエミリコに向き合うジョン。

…『ケイト』もいいお洋服持ってるんだよ」とシャーリーは返す。ケイトと呼ぶことにしたのねとルイーズ。

「どうせなら髪型も変えてみようよ」とルイーズは言葉を続けた。

びしっと髪をあげて出来るヤツだと思わせるのが得策だと言うパトリックに、「ふふっパトリックも髪型かっこいいよ?」とルイーズ。

「ルイーズ触れてやらなくていい。アピールが度を越してる」と言うジョンに、パトリックは見た目は大事だろ!と反論する。

ジョンは、「じゃあ俺も目が悪くないフリして眼鏡隠しておこうかな」と言った。

『私は今日から…サーカスのときとは違う自分に生まれ変わります…!』みんなに準備を手伝ってもらい、決意するエミリコ。

5人は揃って選別会へと参加した____。

エミリコとの記憶

エミリコについて思い出したショーン達。

エミリコの記憶が曖昧だったのも無理はないな
 もともと定住する場所がなかったんだから

とパトリック。

ショーンは「なんてことだ…エミリコがこの牢獄のような館に来てしまったのは俺たちが誘ったせいだったんだ…!」と戸惑いを隠せない。

シャーリー達が不安げな顔でエミリコを見てみると、エミリコは大粒の涙を流しながら「私にも…みんなとの思い出がありました!」と述べた。

…ここに来たことを後悔なんてしていません
 みんなが家族も居場所もない私に仲間と言ってくれたからです

次の瞬間、厚く覆われた雲の合間から星空が顔を覗かせた。

「おお!こんなに綺麗だったのか!?」とショーン。前に見た時は眼鏡をかけていなかったので、ぼんやりとしか見えていなかったようだ。

お前…出来るふりしてるけど本当は雑だよな…」とリッキー。

星空を眺めながら、エミリコは綱渡りに失敗した日の朝のことを思い出していた。

まとめ
  • エミリコはショーン達の誘いで選別会に参加した

【106話】わたしの名前

顔のない少女

綱渡りに失敗してしまった日の朝、エミリコが散歩をしていると川べりに座っている一人の少女の姿を見つけた。

「おはようございます!ミラーサイドの方ですか?」エミリコが話しかけると、強い風が吹いて少女の帽子が飛ばされてしまう。

拾い上げて近づくが、「来ないで!」と拒絶する少女。

なんとその少女には顔がなく、全身が影のように真っ黒だったのだ。

エミリコが驚いていると、少女は森の奥へと走って行ってしまった。

顔がなかった…!人…じゃない?

テントに戻り、森で見かけた少女を模したぬいぐるみを作っているエミリコ。

「おい!雑用!何を作っている」団長はエミリコからぬいぐるみを取り上げるが、ぬいぐるみの姿を見ると一瞬にして顔色を変えた。

お前…これを見たのか? この辺りの森には出るらしいぞ。顔なし妖精が…
 自分の姿に化けたそいつと夜に出会うと顔を剥ぎ取られ死んでしまうって噂だ

団長はそう言うと、「ああ気味が悪い!」とぬいぐるみを投げつけた。

顔のない少女との再会

そしてクビになり、ジョン(ショーン)らと出会った後。

「荷物まとめてきます!」そう言ってテントに入って行ったエミリコが出会ったのは、朝に見かけた顔のない少女だった。

立ち去ろうとする少女に、「待ってください。貴方は今朝の…! やっぱり私は死んでしまうんですか…?」と目に涙をためてたずねるエミリコ。

顔を剥ぎ取る妖精? …そんなの村の人が勝手に作った噂でしょう?
 それがもし本当だったとしても夜には会ってないわ

と言う少女の言葉にエミリコは納得する。

少女は、黒い布を探しているという。エミリコは「ゴミの中にあるかもしれませんよ」と言い、探し出して少女に手渡した。

貴方とわたし同じくらいの背丈ね

少女の言葉に、「自分の姿に化けた妖精に出会うと顔を剥ぎ取られて死んでしまう…!」とまた慌てるエミリコだったが、「だから…!」と少女はつっこみをいれる。

手伝ってくれてありがとう
 お礼に何か…そうだわ

少女は、自分が着ている洋服をエミリコにあげると言った。

ごみを漁っただけだからと言うエミリコに「もう要らないからいいの」と少女。

「あの!お返しに私の予備の服はいかがですか!」とエミリコは真っ黒の服を少女に手渡した。

お礼として少女が着ていたフリルのついた洋服を貰ったエミリコは、服に書いてある文字に目を留める。「これ…何て書いてあるんですか?」

『ケイト』
 わたしの名前よ

少女の名前は、ケイトというのだ。

ケイトから貰った服は、とてもすべすべでつやつやとしている。「やっぱりお返しします!私のあげたものじゃ釣り合いません!」とエミリコ。

ケイトはふと、ごみ箱の中にある人形に目がいった。エミリコがケイトを模して作った人形だ。

「今朝会った時にワクワクして作ったんです。ごめんなさい」と謝るエミリコに、「謝ることないわ。じゃあこれ貰ってもいいかしら」とケイト。

こんな良いものなら釣り合うわよ

ケイトの言葉に顔をほころばせるエミリコ。

そしてジョン(ショーン)達を待たせていることに気が付く。

「また会えると嬉しいです!」と笑うエミリコだったが、へらへらするな!という団長の言葉を思い出して萎縮してしまう。

しかしそんなエミリコにケイトは

貴方の笑顔素敵よ

と言うのだった。

「わたしのことは秘密にしてね」と言い、その場を立ち去るケイト。ケイトから貰った上等な服を抱きしめ。「『ケイト』…素敵な名前です…」とエミリコは呟くのだった。

思い出したエミリコ

ケイトの部屋にて、ケイトに自分の記憶を吐露するエミリコ。

エミリコは、朝に出会った妖精のことが気になって集中できず、演技を失敗したのだ。

そしてサーカスをクビになり、泣いていたところをショーン達と出会った。

皆と一緒にシャドーハウスに行きたくて、文字を書けなかったエミリコが選別会の名簿に書いたのは、直前に出会ったケイトの名前だったのだ。

ケイト様
 …わからないことだらけです
 モーフはシャドーハウスで”生き人形”と生活して人の姿になると聞きました
 でも…ミラーサイドにいた時点で人の姿をしていた…
 ケイト様はどこからミラーサイドへやってきたのでしょうか?

エミリコの問いかけに「ようやく全てを話すときが来たわ」とケイト。

わたしの名前はケイト・ミラー
 ミラーハウスを取り戻すためにここへ来たのよ

まとめ
  • 選別会に参加する前、エミリコはミラーサイドでケイトに会っていた
  • ケイトはミラーハウスを取り戻すためにシャドーハウスへ来た

シャドーハウス【9巻】の感想

ショーン達は実は同じ村の出身で、エミリコはたまたまサーカスで来ていただけで…。

色々と衝撃的な巻でした。

そして何よりもびっくりしたのは、シャドーハウスに来る前にエミリコとケイトが会っていたことです。

他のシャドー達と人間のペアは本名が逆だけど、ケイトはケイトなんですね。

一体なぜケイトだけ色々知っているのかと思いましたが、そもそもケイト自身もシャドーハウスの外から来た存在だったからなのか!

そしてミラーサイド村のシーンでは、ルウとリッキーが仲良さそうで微笑ましかったです。

眼鏡姿のショーンもかっこいい!

10巻も楽しみです!

>>シャドーハウス10巻のネタバレ・あらすじはこちら

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