2022年3月にドラマ化された『青野くんに触りたいから死にたい』の【第1巻】の、あらすじ・ネタバレ・感想をまとめています。
付き合って2週間で死んでしまった彼氏の青野くん。
青野くんに会いたいがために後追い自殺をしようとする優里だったが、彼女の前に青野くんが幽霊となって現れた。
絶対にお互いに触れ合うことの出来ないホラー×純愛ラブストーリー。
※以下ネタバレを含むので、先に無料で読みたいという方は下記から無料で読む方法をご覧ください。
Contents
青野くんに触りたいから死にたい【1巻】のあらすじ
付き合ってわずか2週間で、交通事故により無くなってしまった優里の彼氏、青野。
後追い自殺をしようとする優里だったが、彼女の前に幽霊となった青野が現れる。
決して触れ合うことの出来ない二人。
工夫しながらもお付き合いを継続していくが、時たま青野の様子がおかしくなることがあった。
この先ネタバレを含みます。ドラマ派の方や未読の方はお気を付けください。
青野くんに触りたいから死にたい【1巻】のネタバレ
【1話】初めての彼氏
青野くん
優里が本を運んでいると、とある男の子にぶつかってしまった。
「これ図書室に持ってくの?手伝うよ」彼は本を拾い、更に自分の方がたくさん持って一緒に図書室まで運んでくれたのだ。
『初めて男の子と喋っちゃった……
わたし彼氏ができちゃうのかもしれない!!』
顔を真っ赤にして妄想する優里。
後日、本を運んでくれた親切な男の子の名前は、2年C組の青野龍平(あおのりゅうへい)くんだということを優里は突き止めた。彼は隣のクラスだったのだ。
彼のことを考えながら、独り教室で昼ご飯のパンを食べる優里。『もしかしてわたしのこと好きだったりしたらどうしよう!?』と妄想が止まらない。
そこにクラスの女の子が話しかけてきた。「図書委員さん 学級文庫の本って持って帰っちゃダメ?」
優里はしどろもどろになりながら、学級文庫の本はクラスで借りているので持って帰れないと伝える。
他のクラスメイトが、もう5月なんだから名前覚えなよと女の子に諭す。
優里は気にせずに、『青野くんに声かけられたらどうしよう?』と引き続き妄想に浸る。
しかし廊下で青野くんとすれ違っても、彼は優里のことなど気にも留めていない様子だった。彼の世界に優里はいなかったのだ。
お付き合い
どうしたら青野くんに自分を知ってもらえるだろうか。ただ知ってもらうだけじゃなくて、強く印象に残りたい。
そう考えた優里は、青野に告白することにした。
突然のことに戸惑う青野。「…刈谷さんあんまり喋ったことなかったと思うけどどうして…」青野の問いかけに、言葉に詰まる優里だったが、顔を真っ赤にする彼女を見て、「…じゃあ付き合ってみますか?」と青野は提案した。
勇気を出して告白をしたことによって、なんと青野は優里の彼氏となったのだ。
屋上で一緒にご飯を食べたり、一緒に帰ったり。
『わたし青野くんに会う前はどうやって生きてきたんだろう…』と夢心地の気分になる優里だった。
青野くんの死
青野くんと付き合ってから約2週間経ったある日のこと。
「昨晩2年C組の青野龍平くんが交通事故で亡くなりました」
それは突然に、朝礼にて担任からクラス全体へ向けて伝えられた。
目を腫らしながら、自宅に帰り「お通夜にも行けなかった…」とベッドに突っ伏する優里。
「もう死んじゃいたい…」そう呟いた後、優里はハッとした顔になる。
机の上にあるカッターナイフを取り出し、優里は自分の手首にあてた。すると、
「うわあ~~~!何やってんだよ!!」
と、優里の体をすり抜けるものがいた。それは亡くなったはずの青野くんだった。
「あんた何やってんだよ…
死ぬほどのことじゃないだろ!?」
狼狽える青野に抱き着こうとする優里だったが、青野は幽霊なので優里には触れることが出来ない。
幽霊の彼氏
「触れないよ 幽霊だもん」青野の言葉に、「わかった 死ぬしかないのね」と優里。
再び自分の手首を切ろうとする優里に「落ち着いてよ」と青野は青ざめながら諭す。
「落ち着いてるよ!
青野くんは幽霊でわたしは生きてるから君に触れないんでしょう!?
だったらわたしが死ぬしかないじゃない
君は生き返れないんだから!!」
優里は叫ぶと、次の瞬間顔をぐちゃぐちゃにして泣き出した。
「青野くんだぁ~
あ~~~~
連れてって~連れってって~」
泣きわめく優里に、青野は思わず「ごめん…っ」と謝った。
「優里ちゃん俺はここにいるから
君の側にずっといるから
死ぬなんて言わないで」
戸惑う優里に、「幽霊はいや?」と青野。
「嫌なわけない!」優里は強く否定した。青野が幽霊なのが嫌なわけではないのだ。ただ、触ることが出来ないから…。
そんな優里を見て、青野は「ちょっとそこの枕立ててよ」と提案する。
優里がベッドに枕を立てると、青野は枕がちょうど自分のお腹あたりになるようベッドをすり抜けた。
疑似的に、抱き合う青野と優里。
青野を抱いているのに香ってくるのは優里自身の匂いだったが、好きな人と初めて抱き合ったことに喜びを感じる優里だった。
こうして優里に、幽霊の彼氏が出来たのだ。
赤川くん
青野は優里以外には見えないので、人前では携帯で誰かと話しているふりをして、青野と話すことにした優里。
「青野」という苗字も、優里の学校では有名になってしまったので「赤川」という仮名で呼んでいる。
青野に好きな女性芸能人を尋ね、張り合おうとする優里に「え ちょっと何戦士の顔してんの!?」と青野。そして
「優里ちゃん
俺 多分
優里ちゃんが思ってるような奴じゃないよ」
と言葉を続けた。
「悪い奴かもしれないよ」と言う青野に、「赤川くんは優しい人だと思う」と優里。
「優しい人って怖いよ
だってどんなふうにしたら人が傷つくのかよくわかってるから優しくできるんじゃない?
優しい奴ほど人を傷つける方法をたくさん知ってるんだよ」
しかし優里は、青野の顔が近づいたことで頬を染めてしまう。
「わたしもしかしてちょっとだけMなのかな」と言う優里に、「うすうすそんな気はしてたけど…」と青野。
「あ…あ~~~…赤川くんはSなんだぁ…」という優里の言葉に、青野は「違う!!」と強く否定した。
憑依
夜、優里の自宅にて借りてきたDVDを一緒に観ている2人。
テレビには、濃厚なラブシーンが映っていた。
『どうしよう このままいい雰囲気になってしまうのでは……!!?』チラチラと青野のことを盗み見る優里。
青野のことを見つめながら、優里はふとあることに思い至った。
「青野くんって憑依とかできたりしないのかな…」
人に乗り移るなんてことしないよと言う青野。「わたしで試してみる?」と優里が言うと、青野くんは意識を失ったかのようにだらんとなる。
「え 青野くん どうかしたの? 青野くん?」優里が心配してのぞき込むと、
「ちゃんと言って」
と青野。その目には光がなく、いつもの青野の様子とはまるで違っていた。
戸惑う優里は、目に涙を浮かべながら謝る。
「違う
君の中にちゃんと俺を招いて」
と青野。
「わたしに入ってみますか…?」
恐る恐る、優里がそういうと青野は優里の体に自分の腕をぶっ刺した。
そして青野は、優里の中にズブズブと入って行った___。
生理
ソファーの上で意識を失っている優里。体を起こすと、自分に実態の手があることに気が付く。
優里の中に入っているのは青野なのだ。
「え!?」と戸惑う青野。急いで優里の名前を呼ぶも、返事は返ってこない。
「嘘だろ…?
なんで俺 優里ちゃんの中に入ってるんだ…?」
次の瞬間、青野は股間に痛みを感じた。生理が来たのだ。
血を見ると、ウオオンという音と共に、青野は優里の体からはじき出された。
「…え…あれ…?」意識を取り戻す優里。
青野は汗をたくさんかきながら、しんどそうに荒い呼吸をしていた。
「青野くん大丈夫!?」と駆け寄る優里だったが、「優里ちゃん血っ…!! 下から血が出てる!」と青野。
なんの血かすぐに理解して恥ずかしくなる優里だったが、気が付いていない青野は「病院行こう!」と言う。
優里は首を振り、全然大丈夫だよと青野に伝えた。
しかしそんな優里を見て、青野は哀しそうに顔を歪める。
「大丈夫じゃないよ…俺のせいだ…
なんで俺 優里ちゃんの中 入ってたんだろう…」
自問する青野に「え 入れたの?」と驚く優里。
優里は、自分の中に青野が入っていたことに気が付いていなかったのだ。
一瞬、いつもとは違う青野がいたことを思い出す優里。しかし今目の前にいる青野は、いつもの青野だ。
優里は”違う青野”については、「勘違い…わかんない…」と誤魔化した。自分でもよく分かっていないからだ。
とりあえずすぐに救急車を呼ぼうと言う青野に、この血は生理だと優里は説明する。
そして優里は1人トイレに入った。
『何でこのタイミングでこんなに…
前の生理からそんなに経ってないのに……』
そして優里は、青野が自分に入って行った時のことを思い返していた。
いつもと違う様子の青野。一体化はまるでセクシャルな行為のようだったのだ___。
このまま青野くんと一緒に居続けたら、自分はどうかなってしまうのかと考える優里。
『どうなってもいいよ
青野くんのそばにさえいられれば
他には何もいらない』
優里はそう、心の中で強く思った。
- 付き合って2週間で死んだ青野
- 優里が後追いしようとすると幽霊の青野が止めに入った
- 幽霊の青野は優里にしか見えないので、外では「赤川くん」と呼んで電話をしているふりで会話をしている
- 優里が招くと青野は優里に憑依することが出来たが、覚えていない様子
【2話】歌の練習
音楽のテスト
音楽の授業にて歌のテストを受ける優里たち。
しかし優里はあまり歌が上手くない。
音楽教師は、優里のクラスメイトである園田さんに、優里の練習に少し付き合ってあげてくれと頼む。
「刈谷さんめちゃくちゃ音痴~~~~
ちょ~~~可愛い~~~~」
しかし少しするとチャイムが鳴り、授業が終了してしまった。追試に向けてファイト!と優里に言う園田。
みんなは1回歌っただけでテストに合格したのに、優里だけテストじゃなくて個人レッスンになり追試を受けることになってしまった。
落ち込む優里に、練習の手伝いを申し出る青野。少しならピアノを弾けるらしい。
しかし幽霊の青野がどうやってピアノを弾くのかという優里に、青野は鍵盤に手を置くよう優里に言った。
「俺の指を追ってくれたらいいから
人口光る鍵盤!みたいな!」
そう言って笑う青野に、顔を赤くする優里。「やましいことは考えてないので!!」と慌てて誤魔化す。
2人は手を重ねてピアノを弾いた。青野は、自分が音痴であることを決して笑わない。
発声練習を行っている2人だったが、突然青野から離れる優里。
「これなんかエッチじゃない?」
驚く青野に、優里は「違うの!!今の反射で言っちゃっただけなの!!忘れて!!!」と正した。
青野くんはお腹を抱えて笑い、
「レッスン中はエッチなこと考えないで集中してください?」
と言った。
放課後、音楽室から聞こえてくるピアノの音に、部屋をのぞく園田。
「あれっ刈谷さん!ずっと一人で練習してたの?」
厳密には1人ではないが、園田には青野の姿は見えない。
歌のテストなんだから追試と言っても2回受けたら合格だろうにえらいなあと園田。
「しかも刈谷さんピアノ弾けたんだね~!」園田の言葉に、「弾けない…」と優里。
でも弾いてたじゃんと園田。この後、園田が所属する吹奏楽部が教室を使うという事で、優里と青野は帰路についた。
青野くんの存在
途中まで帰っていた優里と青野だったが、「わたし今から学校戻ってくる」と優里。
忘れ物でもしたの?と問いかける青野に、
「園田さんに青野くんと練習してたんだって言ってくる」
と言う優里。
慌てて優里を止める青野に、さっき一人で練習してたのかって聞かれて何も言えなかったと優里は反省する。
「わたし…青野くんを殺したんだわ……」
優里の言葉に、青野は「……俺はもう死んでるよ」と返す。
しかし死ぬというのは心臓が止まってしまうことだけじゃないでしょ?と優里は反論する。
「青野くんはいたのに
ここにいるのに
いるのに…」
涙を流す優里に、自分は全然気にしていないと青野。自分のことが見えるなんて皆に言ったら、おかしくなったと思われるよと言葉を続けるが、「みんなにどう思われたってどうでもいいよ」と優里。
「学校戻る」と言って引き返そうとする優里を青野は引き留めようとするが、幽体なので勿論掴むことが出来ない。
苦肉の策で、青野は電信柱と自分の体を合体させた。
「電柱ごと俺を抱いてくれ」
学校に戻ることを辞め、青野を抱くことを選んだ優里。
音楽の追試、当日。
優里の上達っぷりに驚く先生。「たくさん練習したんじゃない?」との言葉に、「彼氏が練習に付き合ってくれました」と明るく答える優里だった。
- 音痴な優里
- 追試になり、青野が練習に付き合ってくれる
- 一人ではなく青野と二人でいたのに、青野のことを言えなかったことを後悔する優里
【3話】青野くんの友達
藤本くん
青野がいたクラスでは、一人ずつ青野への想いを教室で発表していた。
「じゃあ次は藤本。青野と一番仲が良かったお前の…想いを聞かせてくれないか」と涙ながらに言う先生だったが、藤本は「いや 特にないです」と言い切った。
放課後、数学のプリントがないと慌てる優里。期末テストの出題範囲なのにと慌てる優里に、「俺の使う?」と青野は提案する。
青野の机に、青野の荷物がまだ残っているという。
誰もいないことを確認し、青野のクラスC組に入る優里。青野は、人が来ないか廊下で見張っておくことにした。
しかし優里はなかなか帰ってこない。青野が様子を見に行ってみると、優里は青野の机にある花に向かってキスをしていた。
と、その時。教室に入ってくる者がいた。
「よそのクラスの人が何してんの?」と男子高生に言われ、謝る優里。
「あんた青野の彼女の人でしょ」ずけずけとした物言いに、優里はたじろぐ。青野は、彼は自分の友達の藤本だと紹介した。
下の学年に青野の弟がいるようだが、彼が取りに来ないから藤本が代わりに青野の机や荷物の片づけをしにきたようだ。
刈谷さんは教室に何をしに来たのかと藤本。「なんか形見でも欲しかった? あんたも一緒にやる?」
優里は、藤本と一緒に青野の遺品整理を行うことにした。
デリカシーのない藤本
「刈谷さんって青野とセックスした?」不躾な質問を行う藤本。
「し……してな…いです……」と優里が答えると、藤本は「あーマジか じゃああいつ童貞のまま死んだんだ」とデリカシーのない発言を行った。
青野が「てめぇーーーっ」と声をあげるが、もちろん藤本の耳には届いていない。
「あ でもわかんないか
あいつ結構モテてたからな
案外 中学ん時とかに卒業してたかもしれねぇ」
藤本の言葉に、やっぱりモテてたんですねと返す優里。藤本曰く、青野はブスとメンヘラにモテるのだという。
「なんかあいつ押せばいけそうな感じすんじゃん
女で言うとヤらせてくれそうっていうか」
失礼な発言を続ける藤本に、青野は「優里ちゃんあいつ殴って」と言う。
青野の言葉通り、藤本に拳を向ける優里。
「何だよ急に」と言う藤本に、優里は「こ…抗議を……」と返す。
「それなら拳じゃなくて口で言えよゴリラかよ」藤本の指摘はもっともだ。
そして藤本は、「大丈夫あんたはブスじゃないよ メンヘラかもしれねぇけど」と言葉を続ける。
彼の言葉に驚く優里だったが、メンヘラかメンヘラじゃないかって言ったら多分あんたメンヘラだろ?と藤本。
「優里ちゃん言い返しな
うるせぇこの根暗野郎って言ってやんな」
と入れ知恵する青野。
再度、青野に言われた通り「根暗野郎」と優里が言うと、「…青野がそう言ってた?」と藤本は顔を歪めた。
「それしか言い返すレパートリーねぇんだ あいつはいつも」
藤本はそういうと、顔をそむけてしまった。
青野が死んだ時のこと
青野の数学のノートを手に取る優里。
ノートを開いてみると、そこには青野の綺麗な字が並んでいた。
青野の字が綺麗だということだけで泣きそうになる優里だったが、泣くのは違うなと思い返し「ありがとうございます」と藤本に礼を言う。
青野の荷物をまとめ、職員室へ向かうという藤本。運ぶのを手伝うと申し出る優里だったが、藤本は断った。
「青野が死んだ時さぁ
うちの学年阿鼻叫喚だったろ?
特にうちのクラスは当人のクラスだからすごかったんだよ」
ぽつぽつと振り返る藤本。担任が、ひとりひとり青野への想いを語っていこうと提案し、皆いかに自分が青野を好きだったか、青野が良い人だったか等を語ったという。
「死んだ途端に人気爆上がり
あの広く浅くの典型みたいなつまんない男がさぁ…
気持ち悪かったなぁ……」
口ではそう言うが、藤本の目からは涙が流れた。
思わず、藤本にそっと手を伸ばす青野。彼にならい、優里も自然と手を伸ばして藤本の目を拭う。
「な に すんだよ」優里の手を止める藤本に、優里は「反射で……失礼しました」と謝った。
謝る優里
帰り道、「藤本って口が悪いだろ?」と青野。
青野と藤本は1年の時から同じクラスのようだ。
「ああいう奴だから泣くとは思わなかったな…」ぽつりとつぶやく青野。振り返ると、優里が電柱に顔を隠していた。
「ごめんね
わたし…わたしの世界には青野くんしかいないから
青野くんが青野くんの親しい人たちと話せなくなっちゃったんだっていうこと全然考えつかなかったの」
謝る優里。
「わたしの体好きに使って
わたしの手は青野くんの手だよ
わたしの口は青野くんの口だよ」
優里がそう言葉を続けると、目のまえには優里が青野の体を受け入れた時の様に、目から光が消えた青野が立っていた。
「手と口とそれから?」
優里の口、そして胸に触れる青野。
しかし次の瞬間には「大丈夫ありがとう」といつもの青野がそこにいた。
- 1年の頃から青野と同じクラスの藤本
- 青野が死んだ時、青野のクラスでは青野への想いを一人ずつ発表した
【4話】もう一人の青野くん
堀江さんの家
優里のクラスには、5月からずっと学校に来ていない堀江さんという女の子がいる。
毎週木曜日に、クラスのみんなで順番に1週間分のプリントを堀江の家まで届けているのだ。
「かっわいそ…」と青野。優里が「何で?」と聞き返すと、毎週クラスメイトがいやいや自分の家に来るなんて嫌すぎでしょと青野は返す。
「でもわたし嫌じゃないよ」と言う優里だったが、「みんなはみんなそうじゃないんじゃない?」と青野。
「それに堀江さん自身がみんなに会いたくないかもしれないよ」
と言葉を続けた。
優里は、青野がすごく気の回る人だと感心する。
堀江宅についた優里と青野。プリントを渡そうとすると、半ば強引に「上がって上がって!」と堀江の祖母に家に招かれる。
そして優里が家に入るや否や、堀江美桜の祖母は「美桜ーーーーー!!刈谷さんが来てくれたわよぉぉ!!!」と声を張り上げた。
しかし堀江さんの返事はない。
困りながらも堀江宅にあがる優里。青野も続けて入ろうとしたが、何らかの力で拒絶されてしまう。
驚く優里に、「いい!いい大丈夫!!反応しないで」と青野。
青野は、外で待っていると言った。
堀江宅に入れなかった青野の手は、まるで溶岩のようにひび割れただれていた。
美桜との対面
青野の心配をしながらも、堀江美桜の部屋に到着した優里。
美桜の祖母が扉を開くと、美桜はヘッドフォンをしてホラー映画を観ていた。祖母が大声を上げても、気が付いていなかったわけだ。
突然の訪問者に悲鳴をあげる美桜。映画の中の悲鳴とリンクする。
祖母はお茶とどら焼きを出し、「ごゆっくり」と優里と美桜に声をかけた。
早くどら焼きを食べて帰らなきゃと焦る優里だったが、部屋の中を見回してみると、美桜の部屋はジェイソンの仮面やホラー映画のポスターがたくさん貼ってあった。
ホラー映画がお好きなんですか?と優里は尋ねてみる。
「好き……とまでは……ほどほどに……まぁ観たりとか……ですけど」しどろもどろになりながら返事をする美桜。
気まずい空気の中、優里と美桜はどら焼きをたいらげた。
部屋を退出する時に「もしかして魔除けとかしてたりしますか…?」と尋ねる優里。
「ホラー映画がお好きみたいなので…」と言葉を添えると、
「ホラー映画と現実は違うんですけど?」
と顔を真っ赤にする美桜。
ルール
美桜は、幽霊なんて信じてないですと続ける。美桜によると、ホラー映画にはルールがあるという。
殺人鬼に追われたら2階にあがっちゃいけない。ガス欠を起こしてちょうど近くにあった田舎町によっちゃいけない。
真紅とベッド下は怪物がいるしゾンビに火をつけちゃ駄目。
バンパイアは招かれなければ家に入れない!
ルールについてまくしたてた後、現実はそうじゃないと続ける美桜。ルールで守られてるわけじゃないから、リアルはホラー映画よりずっとホラーだという。
ホラー映画好きというとまるで殺人願望があるみたいに言う人がいるけれど、映画と現実が混ざることは無いという美桜に、「今の話……もうちょっと詳しく……」と優里。
「『バンパイアは招かれなければ家に入れない』それって幽霊もそうなんですか?」
優里の質問に「何でそんなこと…?」と不思議そうにする美桜。青野の話をするわけにはいかない。
優里は、最近ホラー映画を観たと嘘をついた。すごく不親切で説明がなくて気になって…と言う優里に、美桜は映画のタイトルを尋ねる。
でっちあげなので、勿論タイトルなんてない。覚えていないと優里は誤魔化し、死んだ男の子が幽霊になって、恋人の女の子の元に帰ってくる話だと説明する。
2人は幽霊と人間同士でもなんとか付き合っていこうと工夫をするが、幽霊の男の子が時々人が変わったようになったり、女の子の同級生の家に入れなかったりすると補足する優里。
「招かれないと入れないから同級生の家に入れなかったのかって?」と美桜が疑問を投げかける。
それだけではなく、女の子が軽い気持ちで『憑依できるかわたしで試してみる?』と聞いたと、自分に起こったことを映画のテイとして優里は話し続ける。
その瞬間、男の子は人が変わり『ちゃんと言って』『家の中に俺を招いて』そう言って女の子に迫るのだと優里は熱弁する。
「宣言させるわけだ
体の中に入る許可を女の子にはっきりと宣言させる」
美桜は優里の話を聞いて、確かめるように言った。女の子はそれでどうしたのかと、優里に続きを促す。
優里は、『わたしの中に入りますか』って女の子が言ったら、男の子が女の子に入ったことを伝えた。
「それは確かにセオリーだよ」と美桜。異界の者が、こちら側の人間に宣言させることによって、ある種の契約を結ぶのだという。
幽霊の物語は、基本的にその土地に憑いた地縛霊や、禁忌を犯すことによって浮遊例に取りつかれる話が多いらしい。
そのため、必ず招かれなければ家に入れないというのはぴんと来なかったが、その物語が許可の宣言をルールにしているならば十分にあり得る話だと美桜。
「許可の宣言」優里が復唱すると、「そしてその許可の宣言はおそらく禁忌なんだよね」と美桜は言葉を続けた。「だってその瞬間男の子の人が変わるんでしょ?」
「でも女の子は禁忌を破り続けてしまうわけだ! それがホラー映画だから!」
美桜の言葉に、優里はまだ途中だから分からないと答えた。
またホラー映画のことを聞きに来ても良いかと尋ねる優里。
美桜は、今日みたいに急に来られると困るので、メアド交換しとく……?と提案した。
別人の青野くん
美桜の家をあとにした優里。
外なので、電話をかけているふりをして青野を探す。
と、そこには右半身が黒く焼けてただれたようになった青野が立っていた。
動転する優里に、「優里ちゃんキスして」と青野。
「キス!?キッ…ス!?」真っ赤になる優里。
「な えっ したっしたいけど……でもその……黒いの…
君は青野くんなんだよね…?」
尋ねる優里に、
「頷いたら信じてくれる?」
と青野は尋ね、手を優里の方に差し出した。
「キスして
目を閉じるなよ
閉じたらわからないだろう
触れないんだから」
言われるがままに優里が青野の手の甲にキスをすると、青野の体にあった黒いものが優里の口元へと移った。
触れている感覚はないが、優里にくっついているようだ。
優里が戸惑っていると「入れて 寒いんだ……俺を中に入れてよ…」と青野。
優里は「いいよ 中に入っていいよ」と許可を出した____。
青野、再び優里の中へ
「起きて優里ちゃん」青野の呼びかけで目を覚ます優里。どうやら気を失っていたようだ。
「何か変じゃない?」と尋ねる優里だったが「何も変じゃないよ!」と青野。側の電信柱には大きく×が書いてある。
「あのバツなんだろう」と優里は疑問を投げかけるも、どうでもいいよと青野。どうやら時間が無いらしい。
青野は優里の腕を強く引っ張る。痛がる優里を気遣う様子もなく「走れ!!」と言う青野。
「どこに行くのっ」次の瞬間、優里はとても散らかったゴミだらけのアパートの一室にいた。
「青野くん?どこ…?」優里が部屋の中で呼びかけると、ドアの向こうから「ここだよー」という声がした。
声のする方へと向かう優里。
____と、目の前には優里を心配そうに見つめる青野の姿があった。
何故か自分のパンツが降ろされていることに慌てる優里。優里は今トイレにいるようだ。
なぜ青野の前でおしっこをしていたのか。優里は何も思い出せなかった。
帰って来れた優里
青野が優里の中に入って、丸一日が経過したという。
「トイレ我慢できなくてしちゃった……おかえり」
堀江さんの家の前で青野が自分に入ってから、そんなに経っていたのかと驚く優里。
「もう帰ってこないかと思った……」
そう言って、青野は優里を抱きしめた。
そして、自分は怨霊なのかもしれないと優里に伝える。「君を呪い殺してしまうのかも……」
そんなことしないよ青野くんはと否定する優里だったが、前に優里の中に入った時も今回も記憶が無いという青野。
知らないうちに君を奪ってしまう!と訴える青野に、優里は「全部わたしがいいよって言ったの!」と伝えた。
最初の時も今回も、青野はちゃんと自分に許可を取ったと説明すると、
「入った時のこと…覚えてないって言ってたじゃんか…」
と顔を歪める青野。
それを言ったら青野が傷つくと思ったと優里。「……もっと傷つけちゃったかな……ごめんなさい……」
と、次の瞬間。
優里は鼻からぼたぼたと血を出していた。青野が動転していると「立て……ない」と言って倒れる優里。
青野は腕を差し出したが、勿論優里に触れることが出来るはずもなかった。
- 堀江美桜の家に入れない青野は、右半分が黒く爛れてしまう
- 別人のようになった青野は優里にキスと許可を求め、優里は丸一日気を失っていた
【5話】侵入者
助けを求めて
優里を支えようと青野は腕を差し出すが、すり抜けてその場に倒れ行く優里。
誰か人を呼ぼうとトイレから出て、「こっちに来てくれ!!」と女生徒に呼びかけるも青野の言葉は届かない。
「全部 俺のせいだ……!」
青野が頭を抱えると、バチンッ!という音と共に10円玉が飛び跳ねた。
部室で、定規で紙に線を引いている藤本。すると誰かがドアのノックする音が聞こえた。
「どうぞー」と言うも入ってこない。扉を開けてみても誰もいない。
すると床に落ちていた10円玉がバチッという音を出して跳ね上がった。
勝手に跳ねている10円玉を見て驚く藤本だったが、「あ……おの……?」と呼びかける。
青野は10円玉を動かして藤本を誘導する。
「俺は…っ …夢でもっ…見てんのかっ…!?」戸惑う藤本。
青野は必死に10円玉を動かすが、それは非常に疲れる行為だった。
自分にカツを入れ、優里のいる女子トイレまで藤本を呼ぶ。
___と、鼻から血を出して血まみれになった優里がふらふらとトイレから出てきた。
優里は青野の姿を目にすると「あおのくん…」と言って青野に寄りかかろうとするが、実際に優里の腕が届いたのは青野の後ろにいた藤本だった。
「大丈夫…? 鼻血か? それ……」藤本が心配そうに優里に尋ねるが、「青野くんどこ……?」と優里。
青野くんがいなくなったと泣く優里に、藤本は先ほどまで跳ねていた10円玉を手渡した。
「保健室連れてってやるから……歩けるか?」藤本がそう尋ねるも、意識を失ってしまう優里。
藤本は優里をおんぶして保健室に運んだ。
途端に悪寒に襲われる青野。「死にそー 幽霊なのに」そう呟くと、青野は意識を失い”別の青野”になった。
藤本の体へ
保健室に到着した藤本と優里。
「先生呼んでくるから寝てな」という藤本だったが、優里は青野を探しに行こうとする。
そんな優里に藤本は、この10円玉にはもしかしたら青野が宿っているのかもと言う。
理解が出来ず「……は?」と言う優里に、藤本は顔を真っ赤にし「とにかく寝てろ!!ろくに歩けないくせに…あとで覚えてろよ!!」と叫んだ。
その時、誰かがドアをノックする音が聞こえた。
今先生いないですよと返すも、ノックは続く。
「あ~もう勝手に入ってくれば!」
藤本の言葉で、扉が開く。そしていつもと違った様子の青野は、藤本の体へと入って行った。
藤本の体に入った瞬間、意識を取り戻した青野。戸惑う青野(体は藤本)に、「青野くん?」と優里。
「青野くんいた……!」
どこ行っちゃったのかとびっくりしたと言う優里の手を取り、青野は(体は藤本)優里に口づける。
その瞬間、藤本の顔から再び青野は出ていった。
我に返り、「えっ なんっ ちが 俺何で…」と動転する藤本。
自分の口に手を近づけると、ぬるっとした感触が藤本を襲った。優里の血が付いているのだ。
何が起こったか把握した藤本は顔を赤くするが、肝心の優里は意識を失っている。
「何でおれ体が勝手に動いて…」優里とキスをしてしまったことに、ひどく動揺する藤本だった。
戸惑う藤本
女子トイレで倒れたあと、風邪で3日ほど学校を休んだ優里。
「熱だいぶ下がってきたね 良かった」とほほ笑む青野。
優里は、すごくいい夢を見たんだと嬉しそうにはしゃぐ。青野とキスをする夢を見たのだ。
「それ夢じゃないです」と青野。
青野が藤本の中に入って、優里とキスをしたと説明する。
「本当にごめん……勢いで……」と謝る青野に、優里は本当に青野をキスをしたのだと喜んだ。
しかし藤本に悪かったなと優里。青野は、藤本の体で優里にキスをしたことは大丈夫なのかと尋ねる。
「何で? 体は藤本くんでも青野くんにかわりはないじゃない
わたしがキスしたのは青野くんだよ」
一方、藤本宅にて。
「マー君!やっぱりシャツの血ちゃんと落ちなかったわよ~」と藤本の母。
それにしても鼻血の子すごい量の鼻血だったのねと藤本母。なんか風邪だってと藤本は返す。
母が部屋から退出すると、藤本は
「何で俺……あの時刈谷さんにキスしてたんだよ!??」
と保健室での出来事を思い返していた___。
- 青野は10円玉を動かして藤本に助けを求めた
- 10円玉を動かすのはすごく疲れる行為
- 青野は藤本の体の中に入り、優里とキスをした
青野くんに触りたいから死にたい【1巻】の感想
藤本君が優里に言った「どっちかっていうとメンヘラだろ?」の言葉に笑ってしまいました。
優里ちゃん可愛いし青野くんとの恋を応援したいけれど、現実的に考えるとかなり危ない人ですよね。
2週間しか付き合っていない彼氏の後を追おうとする行為に、優里の危うさが出ている気がします。
まだそんなに深い仲では無かっただろうに、青野に依存してしまうほどに優里の置かれている環境は大変なのでしょうか。
友達はいないみたいですが、気にしていなさそうなので家庭環境があまり良くないのかなと推測。
それにしても、基本的には純愛物で面白いですが、ところどころ怖いですね!
特に青野くんが別人のようになって目から光が消えるところが怖い…!
2巻も楽しみです◎
>>『青野くんに触りたいから死にたい』2巻のネタバレ・あらすじはこちら
青野くんに触りたいから死にたい1巻が無料で読める!
コミック.jpを使えば無料トライアル登録をするだけで1巻を無料で読めちゃいます。
30日以内に解約すれば料金は一切かからないですし、無料お試し登録をするだけで1,350円分のポイントが貰えるため、一冊と言わず二冊も無料で読むことが出来ます◎
無料期間内に解約すれば一切お金はかからない上に、解約後も購入した漫画読むことが出来るのでおすすめです!