2021年にアニメ化されたオッドタクシー(ODD TAXI)の【第2巻】を読んだので、あらすじ・ネタバレ・感想をまとめています。
しがないタクシー運転手である小戸川 宏、41歳。
身寄りはなく、あまり他人とも関わらない小戸川は、友達と呼べるのも高校からの同級生と、かかりつけの医者である剛力くらいのものだ。
しかしそんな小戸川が乗せるのは、一癖も二癖もある客ばかり。彼らの会話が、やがて一人の少女の失踪事件へと繋がっていく…
※以下ネタバレを含むので、先に無料で読みたいという方は下記から無料で読む方法をご覧ください。
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Contents
オッドタクシー【2巻】のあらすじ
冴えないタクシー運転手の小戸川 宏、41歳。
彼が乗せるのは、とにかくSNSでバズりたい学生だったり、アイドルに貢いでいるフリーターだったり、売れないお笑い芸人だったりと様々だ。
ある日小戸川の元に、見知った顔の警察官、大門(兄)がドライブレコーダーを見せろと近づいてきた。
どうやら小戸川が女子高生失踪事件に絡んでいるという噂があるらしいのだが…。
この先ネタバレを含みます。アニメ派の方や未読の方はお気を付けください。
オッドタクシー【2巻】のネタバレ
【8話】
定点カメラで景色をずっと早回ししている映像を見ていると、すごく焦ってくると白川。
「俺が待たせたことへの嫌味ともとれるんだけど」と言う小戸川に、無駄な時間なんてないけどタイムイズマネーって言うじゃんと白川は返す。
「俺と仲良くしない方がいいよ」
小戸川は、自分がヤクザみたいな奴に狙われていること、そして自分の交友関係も把握されていることを話した。
そんな小戸川に、「大丈夫だよ。私こう見えても…カポエイラやってたから」と白川。
突然カポエイラの動きをし出した白川にしたいし、小戸川は「インド映画始まったのかと思った…」と漏らす。カポエイラとはブラジルの格闘技だという。
白川は、最初はダイエット目的で始めたが、段々ケイシャーダ(顎への蹴り)がいかにキレイに決まるかということに興味を惹かれて習っていたようだ。
そんな付け焼刃のカポエイラで倒せる相手じゃないという小戸川の言葉に、「ムカつく。付け焼刃のカポエイラってなんで言えんの?」と白川は噛みついた。
とにかく、自分とこうして会うのは危険なんだと諭そうとする小戸川だったが、白川は「関係ないよ。私は大人なんだし、自分の身くらい自分で守れる」と聞かない。
一体何が目的なのか。自分と会うことで白川になんのメリットがあるのか。そう尋ねる小戸川に、白川は「迷惑?」と聞き返した。
「たまにこうして会って話したり、連絡取ったりするだけでも…迷惑……ですか?」
白川は、小戸川の手にそっと自分の手を添える。
「小戸川さんといると落ち着くの」
白川に見つめられ、困っているところに白川の電話が鳴った。「今日は日勤だから帰らないと」
小戸川は立ち上がり、「送ってく」と白川に声をかける。
「……そっか。タクシードライバーだもんね。」と言う白川に、「……メーターは回さないよ」と返す小戸川だった。
「自分 昼何食べるん!? の! コ~~~~~~ナ~~~~~~~」
単独でロケを行っているのは、お笑い芸人ホモサピエンスの馬場だ。柴垣と組んでいるのだが、1人だけ売れっ子になってしまったのだ。
彼の単独番組を流しているのは、小戸川らのいきつけの居酒屋である。
そこで垣花は、スマホを見つめながら笑みを浮かべていた。
垣花はテンション高く、白川と最近どうなっているのか小戸川に尋ねる。
前回から好き度はアップしたかという質問に、小戸川は木星くらいと答えた。かなり大きい感情だ。
「恋ってさ…切なくもあり、美しくもあるよな…」頬を染めながら言う垣花に小戸川は、「……恋してるのか?」と質問する。
高校時代はそこそこモテたじゃんと自分のことを話す垣花。学生時代、彼は野球をやっていたのだ。
しかし社会に出ると、見たや仕事の不出来などで評価されてしまう。年齢と共に諦めていたけれど、ようやく春が来そうだと言う垣花。
「前も言ったけどさー、マジで俺らのスペック婚活市場や需要無しだぜ! 全然相手見つからねーの」
垣花の言葉を受け、「だからこそわかんねーんだよな」と小戸川。
28歳のナースである白川が、自分を選ぶのが理解できないのだ。
「…さっきは木星って言ったけど、自分でもよくわからないんだ。
なんか好きとか恋とか、諦める以前に自分とは関係ないものだと思っていたからね。」
オリガミでアルパカを織りながら、「___とにかく、自信はない」と小戸川は付け加えた。
「いつの間にか落ちている…そういうもんさ、恋って」と言う垣花に「お前が恋を語るなって。腹立つ」と小戸川。
垣花は、自ら自分の相手の写真を小戸川に見せつける。「…小娘じゃねえか」と言う小戸川の感想に、まだ18歳だと垣花。
彼女とはマッチングアプリで知り合ったのだ。まだメールのやり取りしかしていないけどフィーリングが合うと垣花。
実在する人なのかと疑いの目を向ける小戸川に、垣花は「垣花さん お仕事頑張って♡」というボードを持った、三毛猫の女の子の写真を見せた。
「…彼女を疑ってるわけじゃないよ。
ただ…騙されてるんじゃないか?」
小戸川は垣花に、そう疑問を投げかけた。
【9話】
居酒屋に、お客の笑い声が響く。しかし垣花と小戸川の間には、ピリッとした空気が走っていた。
騙されているのではないのかという小戸川の言葉を受け、「妬んでんのか?」と返す垣花。
その言葉を否定し、「冷静に考えろよ。さっきお前が言ったんだ。俺達は婚活市場じゃ需要ないんだろ。」と小戸川。
フィーリングがと食い下がる垣花だったが、会ったこともないのにフィーリングも何もあるかと小戸川は冷静に返す。
「メールのやり取りしてるっつってんだろ! 見ろよほら! こんなに!」しかし画面に映し出されているのは、垣花がラグジュアリーなお店に娘を誘っているところだった。
垣花さんはいつもこんなところに行かれているんですか?という問いに『仕事の接待で、ちょっとね』と垣花が返事していることに違和感を覚えた小戸川は「…ちょっとお前のプロフィール見せてくれ」と垣花の携帯を奪う。
小戸川の予想通り、垣花は学歴と年収を詐称してマッチングアプリに登録していた。
「……お前、フィーリングを嘘のスペックが凌駕してるじゃねえか」
小戸川の冷静な言葉に「__わかってるよ!!」と垣花。
「それでも…夢見たいんだよ。
いいじゃねえかよ。夢見るくらい…」
床に膝をつきながらうなだれる垣花に、小戸川も言葉を失った。
垣花が落ち込みながら歩いていると、スマホにしほちゃんからメッセージが届いた。しほちゃんとは、垣花が嘘のスペックでマッチングアプリで釣った相手だ。
『お疲れ様です。仕事終わって荒川にいるんですが、今から会えませんか?』突然の打診に、垣花は驚き、そして慌てた。
一方小戸川は白川から、剛力が行方不明だという連絡を受けていた。
病院もずっと閉めたままで、連絡が取れないという。患者に事情を聞かれても何も分からないと白川。
プライベートでも剛力と仲が良かった小戸川に、何か知らないかと尋ねる白川。
意を決してしほに会いに行った垣花。雨に濡れた体で待ち合わせ場所に向かう。
「…垣花さん、会いたかったです」しほの言葉に、垣花は待たせたことを謝った。「夢中であのー…モニターに向かって作業してたからさ! 慌ててタクシー乗ったんだけどこの場所がちょっとわかりにくくて…」
ウソにウソを重ねる垣花だったが、「思ったより素敵な人で安心しました」としほ。「濡れちゃって…かわいそう…」と垣花をハンカチで拭く。
どこかお茶でも飲めるところに入ろうというしほに、この辺土地勘ないからなと焦る垣花。しかし、しほはドトール行きましょと提案する。
彼女の言葉に垣花は安心し、しほと相合傘でドトールへ向かう。ところがそんな二人を、見るからに反社な2匹が見守っていた。
【10話】
人ごみをかきわけ、一匹のピューマが走っている、彼の名前は田中 一(たなか はじめ)。
わき目もふらず走っていく田中に「おい! あんた何がしたいねん!」と柴垣が声をかけるも、田中は止まらない。
話は4年前にさかのぼる。
田中は当時、ゲーム会社に勤めていた。彼は今のソーシャルなゲームに不満を覚えていた。
ゲームとは本来、現実から逃避するためにあるはずなのに、今のゲームは仲間がいれば有利だったり、お金や時間があれば有利だったりするからだ。
田中が小学生の時、消しゴム集めが局所的に行われていた。その中でも、特に真剣に消しゴムを集めていたのは、佐藤と田中の二人だった。
親の出張が多い代わりにお小遣いをたくさん貰っていた佐藤は、出張土産にご当地の消しゴムを親にねだったりして、珍しい消しゴムをたくさん持っていた。
一見、不毛に見えるこの消しゴム集めに田中が参戦したのは、親戚の海外旅行のお土産で貰った消しゴム、ドードーを持っていたからである。
しかし珍しい消しゴムを一つ持っていたからと言って、佐藤に太刀打ちできるわけではない。
一周周ってコレ!みたいな顔で普通の消しゴムを使ってみたり、美大では食パンを消しゴム代わりに使うウンチクを垂れてみたりはしたが、勿論そんな小手先が通用するはずもなかった。
毎日のように佐藤に敗北を味わっていた田中。何か太刀打ちできるものはないかと探して発見したのが、世界に一つしかないという呑楽消しゴムだ。
その消しゴムは、『ditch-11』というユーザーによって、ネットオークションで出品されていた。
決済にはクレジットカードが必要だったため、田中は夜中にこっそり、父の財布からカードを抜き取った。
翌日、佐藤がクラスメイトに、父がドバイに行った時に買ってきてもらったという消しゴムを見せびらかしていた。
『今に見てろ…』と田中は心の中で悪態をつく。
家に帰ってパソコンを開き、呑楽消しゴムをチェックする田中。入札件数は0、現在価格は3,000円、期限は残り3日だ。
パソコンを使える時間は兄がいない間だけなので、迷っている時間はない。田中はすぐに入札した。
小学生であった田中にとって、3,000円は非常に大金である。しかし翌日、田中がオークションサイトをチェックしてみると、他のライバルが3,500円で入札していた。
焦った田中は、3,600円で入札するも、締め切り当日になると、呑楽消しゴムはライバルによって4,000円という強気な価格設がされていた。
田中は4,100円で入札するが、すぐに相手は4,500円と田中を上回る金額で入札してくる。こちらが100円ずつ値上げしても、相手はそれの更に上を行く金額で提示するのだ。
絶望していたところに、自分の兄が帰宅する音が田中の耳に届いた。焦っている時間はない。
最初は1万円と入力したが、ライバルがそれを更に超える金額で入札する可能性を考え、田中はなんと10万円の落札金額を提示してしまった。
入札ボタンを押したところで、兄が部屋に入ってきた。勝手に兄のPCを使用していたことで、殴られる田中。
翌日、学校のPCでオークションサイトをチェックしてみると、呑楽消しゴムは無事に田中が入札したことになっていた。
消しゴム一つに10万円。正気の沙汰ではない。
出品者と商品の送付先をやり取りし、商品到着を楽しみに待つ田中だったが、1週間経っても1ヶ月経っても、呑楽消しゴムが田中の家に届くことは無かった。
出品者情報のところには、ノークレームノーリターンという文面が記載されている。しかも消しゴムの到着を待っている間に、消しゴムブームは終了してしまっていた。
クレジットカードの使い込みが親にバレ、父から殴られる田中。それもそうだ、しかも10万円という大金だ
一体誰が一番悪いのか。自問自答するも、もちろん一番悪いのは田中自身である。
消しゴムの一件以来、田中は実像のないものも、人と争うことも嫌いになった。そんな時に、田中は一つのゲームとである、
ズーロジカルガーデン、通称ズーデンだ。
ブレイヤーは動物園の園長となり、個性豊かな動物たちを飼育・展示して来園者数を集めていき、その成果を世界規模のランキングで競うというゲームである。
無課金である田中の順位はひどいものだったが、集客が増えれば楽しかったし珍しい動物が手に入った時は脳が危険な痺れ方をした。
課金なしでも楽しんでいた田中。しかしどうしても欲しい動物があった。それはドードーだ。
ズーデンは実際の動物の希少性に即してノーマルやレアなどの序列がついている。そのため、絶滅動物のドードーはスーパーレアだ。
『…絶対に手に入れたい』
ふつふつと所有欲が沸きあがってきた田中は、1回だけ課金してみることにした。引けたのはスーパーレアであるジュゴンだ。
少しは順位が上がっただろうか。ふとランキングをチェックしてみると、1位のユーザー名は『ditch-11』となっていた。
忘れることのできないアカウント名。呑楽消しゴムを落札したものの、送品してこなかったIDと同名だ。この時の出品者と同じ者なのかは分からないし、大人になった今、『ditch-11』に恨みがあるわけでもなかった。
しかし運命を感じずにはいられなかった田中は、この日からドードーを求めて廃課金勢になったのだ。
【11話】
初めてズーデンに課金した日から4年。田中はまだズーデンをプレイしていた。総課金額は500万を超えている。
惜しげもなくお金と時間を注ぎ込んだものの、スーパーレアであるドードーはまだ手に入れる事が出来ていない。
ズーデンに取りつかれてしまった田中は、同僚からの挨拶にも返事をしないし会議中にまでゲームをする始末だ。
ズーデン自体は世界中で人気があるため、ドードーを所持しているアカウントを購入することも不可能ではない。おそらく数十万程度で手に入るだろう。総課金額よりは安上がりである。
しかし、そういうことではない。自分で課金して入手することに意味がある、否ただの病気なのだ。
田中は完全に感覚が麻痺をしており、息を吸うように10万円単位で課金していた。全てはドードーを手に入れるため、16年前の小3の自分を救うため、そして『ditch-11』に近づくためだ。
懲りずに課金を続けていたところ、やっと田中はドードーを引くことが出来た。
「俺の4年…いや、16年…
やったーーー!!!」
道路の真ん中で万歳をする田中。そこに小戸川の運転するタクシーが突っ込んできた。
跳ねられこそしなかったものの、避けた田中はそのはずみで転んでしまう。手に持っていたスマホは、無情にも道路側溝に落ちてしまった___。
「バックアップとれていたぶんは復旧しまし…」後日、修理に出していたスマホを店員から奪い取るように受ける田中。慌ててズーデンを開く。
しかし、あの日自分で引いたはずのドードーは、未所持のままとなっていた。
確かに手に入れたはずのドードーの喪失感。更に悪いことが重なり、可愛がっていたペットのインコも同じ日に息を引き取った。
ところがゲームでは、手詰まりかと思われたタイミングで貴重なアイテムを手に入れる事がある。田中の場合も同じだった。
ペットのインコを埋葬するために、土を掘る田中は、たまたまドブが隠していた拳銃を掘り当ててしまったのだ。
銃を持ち、ドードー喪失のきっかけとなったタクシー運転手を探し回る田中。
ブツブツと呟きながら歩く田中に声をかけたのが、ホモサピエンスの柴垣だった。
「ごめんな、職業柄ちょっと気になって。
なあ どないしたん
そんな殺人鬼みたいな顔して…」
柴垣の問いに、自分は田舎から何しに出てきたんだと尋ねる田中。
柴垣は、地位と名誉とビッグマネーを掴みに東京に乗り込んだと返す。
「で まだ手に入らないんだ」「そら一朝一夕というわけにはいかんからな」そう答える柴垣に「どうすれば手に入ると思う?」と田中は質問を重ねる。
「…それがわかったら苦労せーへんやろ」と言いつつ、柴垣は自分なりの意見を述べる。
相方は運だと言い放ったこと。自分自身は、運要素も絡むかもしれないけど自分でコントロールできる部分は諦めたくないこと。
淘汰されずにどう生き抜くべきか、運以外のところで考えるところいっぱいあると言う柴垣だったが、田中は、
「じゃあドードーは運が悪かったと」
と呟いた。
困惑する柴垣を置いて、田中は再び歩き出す。ドードー喪失から3日、田中はひたすら歩いて小戸川を探していた。
もともと気が遠くなるような確率を追い求めるのは慣れている。
欲しいものを手に入れるには、何もかもを超越する、強烈な執着を握りしめることだ。
小戸川の姿を見つけ、来た道を走って戻る田中。そんな彼に「おい! あんた何がしたいねん!!」という柴垣の声が飛んできたが、田中はわき目もふらずタクシーを追いかけていく。
しかし所詮、人の足で車に追いつけるわけはない。
肩で息をしながら、田中は「ふへっ」と不気味に笑った。
【12話】
「もしもし? 三矢、今どこ?」ミステリーキッスのマネージャーである山本は、三矢に電話をかけて所在を確認していた。
「今から迎えに行くから」と言い、タクシーを拾う。
原宿駅までとお願いした後に「急ぎ目で法定速度ギリな感じで」と山本は小戸川に告げる。
時間自体に余裕はあるが、2人迎えに行く必要があるので急いでいるのだ。
原宿駅でタクシーを待つ三矢。ドアが開いたので乗ろうとするも、中には既に先客がいた。明るく謝り、「私が乗るのあっちでした!」と小戸川の運転するタクシーを指す。
すると別のタクシー車内にいた何者かは、三矢に何かを依頼した。「あはは いいよー。よくわかんないけど。てかおにーさん顔色死んでますね!」
山本に呼ばれ、小戸川のタクシーに向かう三矢。車に乗り込むなり、山本に唐揚げをせがむ。
三矢は、母の作ってくれた唐揚げが大好きだったという。
タクシーから下車する前に、三矢はあるスマートフォンを座席の隙間に埋め込んだ。
三矢をスタジオまで送り届け、山本は市村しほに連絡する。
「2人バラバラに迎えに行くとは思わなかったよ」と言う小戸川の言葉に、「そういうのも色々あるんですよ。組み合わせとか席順とか。それならバラバラの方がいいかなって」と山本。
荻窪のスーパー銭湯で入浴していた市村しほ。タクシーに乗り込む彼女に、山本は前にしほが欲しいと言っていた入浴剤を手渡した。
「? どしたの運転手さん早く出して」と言う山本に、小戸川は市村しほをどこかで見たことあるような気がしてと返す。
しかし市村しほは顔出しをしていない。テレビでは、仮面をつけて踊っている。
「顔知ってるとしたらデビュー前のライブに着てたとしか思えないよ」と山本。
「ああアイドルかなんかの?じゃあ違うな。ライブなんか行ったことないし…」不思議そうにする小戸川に、曲がりなりにも表に出る子だから今日のことは忘れてねと山本は釘をさす。
スタジオに向かって走り出した車内で、二階堂のことを尋ねる市村しほ。彼女は、二階堂の向上心について行けないと山本に愚痴をこぼす。「すごいんだってあの人。たぶんのし上がるためなら殺人だってできると思う。てかもうやってそう」
そんな市村を、山本はたしなめるも「私…やっぱ向いてないんじゃないかな。この仕事」と市村しほは続けた。
二階堂みたいに華はないし三矢のようにダンスが上手いわけでもない。ネガティブな言葉を繰り返す市村しほに、山本は「市村には市村のいいところあるから」と励ます。
「おじさんとメールするのも結構疲れ…」と言いかける市村だったが、山本はそれを制した。
スタジオに到着し、山本は「三矢が先に入ってるから」と市村しほに声をかけた。
「…苦手なんだあの子。前の方がよかった」山本に心情を吐露する市村しほ。しかしタクシー運転手である小戸川の耳にも届いている。
「市村。そういう無邪気なとこ長所だけどね。TPO弁えようね」
市村はくるりと踵を返し、スタジオの中に入っていった。
山本は小戸川に、最期は上目黒の事務所まで乗せてくれるよう頼む。
彼の運転するタクシーの背後には、また別のタクシーが停まっている。
「いや嬉しいな~この仕事してて言われたい台詞ナンバーワンですよ。
『前の車追いかけて』!」
車内には、目を血走らせる田中の姿があった。
場面は再び小戸川の運転するタクシー車内にうつる。
「大変だと思うだろ。大変だよ、大変だけどね運転手さん。俺は彼女たちにてっぺんからの景色を見せてやりたいんだ」ミステリーキッスに賭ける思いをあつく語る山本。
彼には勝算があるという。それが二階堂ルイだ。「原石とかそういう次元じゃない。金剛石なんだよ」
それならば一人で売り出せばよいのではないかという小戸川の指摘に、「今はそういう時代じゃない。セット売りしていかなきゃいけないし。さっきの子達には悪いけど引き立て役も必要だ」と山本は返す。
そして山本は、小戸川に名刺を貰えるか頼んだ。ミステリーキッスの移動を、出来れば同じ人に頼みたいからだ。
名刺を受け取った山本は、更に宣伝してくれないかどうか小戸川に明るく打診する。ミステリーキッスのフライヤーとファーストシングルを取り出し、「よかったら車で流してよ」とお願いした。
「…上目黒の事務所って一階に飲み屋のテナント入ってるとこ?」小戸川の問いかけに、「そうそう!知ってるの?」と山本。
「前に女の子をそこまで乗せたことがあったなあって」
小戸川の言葉に、山本は固まる。「え……いつ?」「二週間くらい前かな」
「あの子あんたんとこの事務所の子だったんだな」と言葉を続ける小戸川。山本の事務所には、ミステリーキッスしか所属していない。
動揺を隠しながら「今日乗せた子のどちらかだね」と返す山本に「あー、そうかもね」と小戸川。
小戸川からすると、二階堂ルイらの年代の、アイドルやろうという子達はみんな似ているのだ。
市村しほを見たことあるって言っていたので、おそらく彼女ではないかと言う山本だったが、小戸川は「あの子三毛猫じゃん。ちょっと違うんだよなあ」と返す。
そうこうするうちに、タクシーが上目黒の事務所に到着した。
「その子を降ろした場所、ほんとにここの事務所?」降りる前に、再び確認する山本。
「そうだよ」肯定する小戸川に、何か考え込むようにしながら山本は相槌を打った。
「あのさ運転手さん。
この車って録画機能みたいなのある?」
山本は尚も言葉を続ける。「データ貰えたりしない?」
次のPVでタクシーに乗ってるオフショットを入れるのも面白いかと思ってと言う山本に「…彼女たちのデータだけならいいよ」と小戸川。
しかし「いや、全部欲しいんだ」と山本。
小戸川は、プライバシーの問題などがあるので自分一人では判断できないと返答した。
とりあえずまた連絡すると言い、山本はタクシーを降りる。
ドブが言っていたように、車内のデータを欲しがる人物が現れたというわけだ。
ため息をつきながら帰路につく小戸川。そんな彼の位置を、スマホで確認しているものがいた。田中だ。
三矢に頼んでスマホを小戸川の車内に置いてもらい、彼の自宅を特定したというわけである。
【13話】
「呼び出して悪かったな」夜の病院にて、小戸川は剛力と会っていた。
剛力は、小戸川に眠れているか尋ねる。「おかげさまで眠れてないな。薬を処方してもらってないんだから。ていうかこんな時間に診察かよ」
「他の病院行ってもいいぞ。貰える薬は一緒だ」そう言った後に剛力は、病院をしばらく閉めることにしたと小戸川に告げる。
理由は薬の数が合わないからだ。長期に渡ってやられていたようだと言葉を続ける。
どうやら身内の犯行であるため、警察には行っていないという剛力。バレると被害者から加害者になってしまうからだ。
だからもうなかったことにするために閉めようと思ってると言う剛力に「自分を守るためってことか」と小戸川。
「白川さんを守るためじゃなくて」小戸川の言葉に、「…誰も白川さんが犯人だとは言ってない」と剛力。
小戸川は、思い出した事があるという。少し前にカバみたいな客、樺沢を乗せた時にドブと白川が一緒にいるのを目撃したのだ。
ドブは白川のことを知っていたし合点がいくと言う小戸川に「はっきり見たのか?」と剛力。
「白川さんは後ろ姿だった」と返す小戸川に、「じゃあわからないだろ」と剛力は言い放つ。後ろ姿が似た人なんていくらでもいる。
しかし小戸川は「いや わかるだろ」と譲らない。
「変わったな小戸川。
湿度が……高くなったというか」
剛力のその言葉には答えず、小戸川は「そろそろ行くよ」と立ち上がった。
今晩、小戸川を呼び出してきたのは剛力の他にもう一人いるのだ。
待ち合わせ場所にて、夜の海を眺めている小戸川。彼を呼び出してきた二人目はドブだ。
「ドラレコのデータ、欲しがってる奴がわかったって?」ドブの問いに、「…その前に一つ聞きたいことがある」と小戸川。
「白川さんとお前は繋がっている、そうだよな」
黙っているドブに、「正直に答えないとドラレコのこと教えないぞ」と小戸川は畳みかける。そもそもドブは脅しのコマとして白川を使ったが、もしドブと白川に繋がりがあるのなら前提が成立しない。
ドブは渋々、白川と繋がっていることを認めた。しかし、白川を小戸川に接触させたのはドブの指示ではなく、白川が自ら行動したことだという。
更に、剛力の病院から白川に薬を盗ませていたのかと尋ねる小戸川。白川の借金を肩代わりしたのはドブだという。その返済の為に、ドブは白川を使っていたようだ。
「…もうこうなったら俺が約束守る必要なくないか?」と言う小戸川に、ドブは自分が四面楚歌だと伝える。ボスに貰った大事なものもなくし、最近はドブを捕まえるという素人の動画が1,000万再生いっているらしい。
「つまりさあ。
ドラレコのデータ欲しがってた奴の名前聞き出さないと、もう俺、お前を殺すしかないんだ」
「どうやって殺すかっていうと…そうだな。
手足縛って、空の浴槽に放り込んで、少しずつ水を入れていくとか、どう?
人の嫌がることは敏感なんだ。おかげさまで」
ドブの言葉に小戸川は、データを欲しがっているのはミステリーキッスのマネージャーであることを伝えた。
山本が車内に置いて行った、ミステリーキッスのフライヤーを眺めながら「この3人の中にボスの同級生の娘さんがいる…ってことか?」とドブ。
「あいつらが欲しい箇所だけカットしたデータを売るってのもいいかもな」と言うドブに、「勝手にやってくれ。関わるな」と小戸川は言い放つ。
「おいおい、そんなにショックだったのか?
白川のこと……」
一方垣花は、高級なレストランにて市村しほとご飯を食べていた。
「カッキーはいつもこんなとこ来てるの?」市村しほの問いかけに、「あ、ああ、そうだね、月イチ行くか行かないかくらいだけど…」と垣花は言葉を濁す。「すごーい。初めて来た こんなとこ」
空になったグラスを見つめ、垣花は「すみませーん! おかわり!」と手を挙げる。
居酒屋ではないのだから、もちろん場違いな行動だ。くすくすと周りのお客が笑う。
恥を誤魔化すかのように、垣花は「何してる時が一番幸せなの?」と市村しほに尋ねる。しほは、お風呂に入っている時が一番幸せだと言う。
しほの家は貧乏で兄妹も多く、1人になれるのはお風呂に入っている間だけだったのだ。
「カッキーんちのお風呂はやっぱすごいの? 足伸ばせる?」無邪気に聞くしほに、垣花は困りながらも「ジャグジーとかあるよ」と嘘をつく。
それを聞いて、垣花の家に行きたがるしほ。焦った垣花は、「じゃ、じゃあさ! 湯布院行かない? 飛行機ですぐだよ」と他の提案をする。
「えーカッキープライベートジェットかなんか持ってるの?」「さ、流石にそこまでは…」垣花の言葉に、「なーんだ」と落胆したように言う志保。
そこへ、ウエイターがワインのおかわりを注ぎに来た。ここでもテーブルマナーが分からず、グラスを持ち上げてしまう垣花。「お持ち頂かなくて結構ですよ」という言葉に「あ、そっちのパターンね…」と垣花。
ワインを注いでもらい、垣花は「本当に結婚したいと思ってるの?」と市村しほに尋ねる。垣花の知る市村しほは、10代の大学生なのだ。
スマホをいじりながら、昔からお嫁さんになるのが夢だったと市村しほ。「指輪渡されてプロポーズとかさ、最高じゃん」
市村は意を決して、結婚を切り出そうとするが、「ねえ見てこれ」と市村しほに遮られる。
しほは、今井の10億円当たったというSNSの投稿を垣花に見せた。「へ…へえ、10億円。流石の俺もそこまでは持ってないな…」
次に市村しほが見せてきたのは、ドブを捕まえようとしている樺沢太一の動画だ。すごく話題になり、1,000万回数以上再生されている。
樺沢が小戸川と一緒に撮った写真、そこにドブが映りこんでおり、それが話題になってマスコミの取材を受けたことがきっかけだという。
偉い人がバックについているのか、警察が捕まえることが出来ないらしいドブ。そんな彼を自分が捕まえる!と、樺沢は動画内で息巻いている。
動画を横目に、お皿を下げに来た給仕の人に、お会計をと席を立つ垣花。勿論お会計は席で行う。「あ、そっちのパターンね…」
ポケットから直接お金を取り出し、支払おうとする垣花に「…カードとかじゃないんだね」と市村しほ。垣花は、普段デジタルの数字ばかり見ているから、人と触れ合う時は現金でやり取りしたいんだよねと誤魔化す。
「財布も持たないの?」疑問を投げかけるしほに、「ボッテガヴェネタ持ってたけど部下にあげちゃった」と垣花。床には、消費者金融から10万円借りたレシートが転がっていた__。
【14話】
小戸川がタクシーを流していると、ぶんぶんと手を振る客がいた。ミステリーキッスの二階堂推しである、今井だ。
タクシーに乗り込んできた彼に「おー、ミステリーキッスのファンの」と小戸川は声をかける。
「覚えててくれたんすか! また会えてよかった! 探してたんすよ!」と今井。今井が当てた10億円、それは前回タクシーから降車する際に小戸川に言ってもらった数字の宝くじを購入したからなのだ。
当てたことが本当なら、あまり人に言わない方がいいよと諭す小戸川。「リアルでは初めてっすよ!」と今井。SNSには投稿済みだ。一人で抱えるには重すぎるので、言いたくて言いたくてたまらないらしい。
ミステリーキッスのCDが出るタイミングで換金しようと思っていると今井。肌身離さず持ってますと、当選した宝くじを小戸川に見せる。
「小戸川さまにも何かお礼がしたくて」と言う今井に「いいよ別に」と小戸川。
特に欲がない小戸川に対し、今井は自分の働く店、キャバクラに小戸川を招待した。今井はキャバのボーイなのだ。
慣れない空気に席を立つ小戸川。トイレで携帯を確認すると、そこには白川からの不在着信が何度も入っていた。
小戸川は白川に対し、『二度と俺に関わるな』とだけメッセージを送信する。
するとその時、キャバクラ内に銃声が響き渡った。
小戸川を探しにトイレにやって来た今井は、小戸川に裏口から逃げるように言った。
拳銃を持った男は、目出し帽をかぶったまま、誰かを探すかのようにキャバクラ内を見渡している。
そこへ今井と同じキャバクラで働く、芸人である柴垣が通りかかった。「何これハロウィン!? まだやでハロウィン!」
ツッコミをいれる柴垣を脅すかのように、拳銃を持った男は銃口を向け、壁に向かって威嚇射撃を行った。
小戸川を裏口から逃がした今井が駆けつける。「何がしたかったんだお前……」と尋ねる今井に、柴垣は「正直…撃たれたらおもろいなあ思て」と返した。
今井に逃がしてもらった小戸川。しかし小戸川のタクシーは窓ガラスが割られていた___。
小戸川が家に帰宅すると、白川が小戸川を待ち構えていた。「どういうこと?俺に関わるなって…」
尋ねる白川を無視しようとする小戸川だったが、白川が「小戸川さんが無視するんですけどー!」と大声をあげるので「…外で話そう」と提案する。
「なんで?誰かいるの?」と聞く白川に、部屋が片付いていないからと言い訳をする小戸川。しかし誰もいないはずの小戸川の家では、かすかに物音がするのだった。
【15話】
高級な婚約指輪を前に、思案する垣花。
一方小戸川は、タクシーの窓が割られていたことを白川に報告していた。
早く直さないと、と白川。「壊れたものを放置してたら余計壊されるみたいな」
「壊れ窓理論?」と尋ねる小戸川に「そうそれ 心だってそうだからね」と白川。
そして改めて、小戸川は白川に何の用なのかと問いただす。
「もう知ってんだよ
相手の出方次第ではまだ挽回可能かもって考えてるお前の態度も鬱陶しい」
待ってという白川を無視して、小戸川は言葉を続ける。
「泣くなんて卑怯だろ
お前が薬を盗んだせいで剛力は病院を…」
白川は観念して「…全部話すから。小戸川さんはどこまで知ってるか話さなくていい」と口を開く。
「私はたしかにドブさんと付き合ってた」
白川の発言に「いきなり知らない情報じゃねーか」と小戸川はつっこみを入れる。
目に涙を滲ませながら「4年くらい…逆らえなかったの」と白川。しかし小戸川は「泣くなら話は聞かない」と一蹴する。
涙をこらえ、白川は話を続ける。ドブには大金を借りており、それを少しずつ返していたから、剛力の病院で薬まで盗んだという。
「…それで、俺に近づいた目的は?」小戸川の問いに、白川はドブから患者のリストを持って来いと言われたと話す。
個人情報をお金に換える方法がいくらでもあったのだろう。リストにあった小戸川の名前を見て、どういう男なのかドブに聞かれたと白川。「なんて答えたんだ」という小戸川の問いに対し、
「気難しいタクシードライバー」
と白川は答えた。小戸川に近づいたのは、ドブから小戸川と親密になれと言われたからなのだ。
「でも…本当に私小戸川さんのこと段々…」と言葉を続けようとする白川だったが「いらねえんだよ そういうの」と小戸川は遮る。
ドブの本当の目的は?とという小戸川の問いに白川は、銀行強盗をする際の逃走用に、タクシーが1台必要なんだと思うと考えを述べた。
「逃走用に俺を利用か。舐められたもんだな」と言う小戸川に、
「本当に信じてほしいの。言われるまま小戸川さんに近づいたけど、途中から私 小戸川さんを差し出す気はなかった」
と白川は熱弁する。しかし小戸川は「どうだっていいよ そんなことは」と取り付く島もない。そして、ドブには自分に話したことは黙っておくよう白川に伝える。
小戸川はドブを泳がせ、銀行強盗も手伝うふりをすることにした。ちなみに白川は、ドブへの借金はまだ300万残っているという。
「4年も返しててまだそんなに?」と言う小戸川に、利息があったから元本が全然減らないと白川。そんなに暴利ならよそで借りたほうがマシなのではないかと言う小戸川だったが、
「殴られるし…あの人本当は弱い人なの
ほっとけなくて…」
と白川。
「ああそう。知らねえよ お前らの共依存」小戸川は冷たく返し、席を立った。
「待って小戸川さん。今日は私、本当のことしか行ってない」と追いかける白川。借金を早く返してドブと離れたいこと、剛力にも謝るを言葉を続ける。
「私は……」
なにか言いたそうにする白川だったが、
「俺に……二度と関わるな」
小戸川はそう、言い残して去った。
ラジオの収録にて、興奮気味にキャバクラでの銃撃事件を話す柴垣。
「びっっっくりすんで ほんま!!」
『ホモサピエンス柴垣 バイト先で強盗に遭遇』と小さくネットニュースにもなっていると馬場。
「バイト先いうんがダサいな」と柴垣。強盗追い払ったの俺やからなと言葉を続ける柴垣に「ほんまに?」と馬場。
柴垣は、撃つんやったら撃ってみい!言うてその場を収めたと話を盛る。
一方馬場は、この1週間ドラマの収録で忙しかったという。二人は段々”笑い”の話にシフトする。
「最近思ってんけど、誰も傷つけん笑いってのが一番ちゃうかな」
馬場の言葉に、
「いやちゃうな。俺は一人傷つけても10人笑えばいいと思ってる」
と柴垣。
馬場は、そんな笑いは反感買うだけだと思うと意見を述べる。最近売れている人は結局人柄やんと言う馬場に、「それで笑えるんか!? ほんまに笑えるんか!?」と柴垣。
自分たちが子供の頃の笑いは、エッジの効いた刃だらけの言葉だったと言う柴垣に「もうそんな時代ちゃうと思うけどなあ」と馬場は返す。
「ほんならなんや! 変顔してたらおもろいんか! 白目剥いたらおもろいんか! そんなんで笑えんのか!」
エキサイトする柴垣を傍らに、馬場は送られてきたメールを読むことにシフトした。
今回は、いつも小賢しいメールを送ってくる高校生、長嶋聡(ながしま さとし)くんからは来ていないようだ。
そんな彼らのラジオを聞きながら、小戸川は「疲れたな…」と独りごちた。
スタジオから出て、出待ちをしていた女の子たちに囲まれる馬場。柴垣には誰も目もくれない。
「中目黒まで」独りタクシーに乗ろうとした柴垣だったが、いきなりタクシーの扉を開ける者がいた。高校生の長嶋 聡だ。
「すげーわかるよ」
戸惑う柴垣に、「白目剥いて何が面白いって」と長嶋は言葉を続ける。
「…お前にわかられてもな」馬場は扉を閉め、タクシーを出すように運転手に告げた。
走り去るタクシーに向かい、長嶋は「俺…長嶋! 長嶋 聡!」と名乗りをあげていた___。
いつものように、タエ子のお店で飲んだくれている垣花。しかし今日はスーツを着ている。
「…垣花さん。最近、雰囲気変わったわね」
タエ子の言葉に、垣花は「そーお?」と言い、にこっと笑った。
オッドタクシー【2巻】の感想
垣花に対する共感性羞恥がやばい(笑)。
特にレストランでの振る舞いが見てていたたまれませんでした。幸い、その点に関しては市村しほもマナーなどが分からないのか、問題ないようでしたが。食事中にスマホをいじるほどなのでお互い様ですね。
最初は小戸川の人を遠ざける態度も痛々しいなあと思っていましたが、2巻まで読み進めると小戸川が一番まともな気もしてきました。
白川さんとのロマンスを個人的には応援していますが、冷たく突き放す小戸川がいっそ清々しい。
あと今井くんかわいいですね。
3巻も楽しみです!
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